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財政検証の結果は、厚労省が3日の社会保障審議会年金部会に示した。年金財政の健全性を5年に1度点検する取り組みで、制度的にはおおむね約100年先まで維持できることが確認された。
経済状況の順調さに応じて上から3番目のシナリオ「過去30年と同様の経済状況が続いた場合」は実質経済成長率をマイナス0・1%に設定している。これでみると、40年度には所得代替率が56・3%、額にして月21・6万円となる。額面で大きく減少していなくても、年金の水準を示す所得代替率が下がれば、年金受給世帯の暮らし向きは現役世代に比べて厳しくなる。
その後、57年度に、年金額の伸びを抑えるための「マクロ経済スライド」の調整が終わり、60年度は50・4%、月21・4万円となるが、その後も50・4%で推移する。
一方、これより良好なシナリオの「経済成長や労働参加が好調に続いた場合」(成長率1・1%)であれば、調整が20年前倒しの37年度に終わり、所得代替率は57・6%が続く。額面では、40年度は月25・1万円、60年度は月33・8万円となる。
このほか、厚労省は世帯試算とは別に、単身男女ごとに65歳時の平均受給額の見通しを今回初めて示した。共働き世帯の増加など、社会構造の変化に合わせて見通しを多様化させるためだ。政府は今回の結果を受け、2025年に予定している年金制度改革の議論を本格化させる予定だ。