大統領在職中の公的行為は原則的に「免責特権」が適用されるとの初判断を示した米最高裁判事。ロバーツ長官(下段中央)を含めた保守派が6人、リベラル派が3人の構成だ=AP
大統領の「免責特権」を認める判決を出した米最高裁=AP
米国で「王にならなかった男」といえば、建国の父、ジョージ・ワシントンを指す。独立戦争の司令官として絶大な権限を握り、実績と人気を背景に初代大統領に選ばれた。なろうと思えばなれたという含意がある
▲実際に軍幹部から暗に国王就任を求める手紙を受け取ったが、拒否したという。大統領3期目も求めずバージニア州の農場に帰り、2期で引退の前例を作った。軍人ナポレオンが仏皇帝に即位する7年前だ
▲「大統領は後の訴追の可能性を恐れることなく、大胆に行動する必要がある」。これが保守派判事の多数意見という。大統領選に向けて足かせがとれたトランプ前大統領が「大きな勝利」と喜んだのは当然だ
▲大統領が選挙結果を覆そうとしても「おとがめなし」なら「法の下の平等」はどうなるのか。免責の範囲はどこまでか。リベラル派判事は「今や大統領は法の上に立つ王」で軍事クーデターすら免責されかねないと警告する