鹿児島県警を特別監察 警察庁、相次ぐ不祥事受け(2024年6月24日『時事通信』)

キャプチャ
鹿児島県警へ特別監察に入る警察庁の片倉秀樹首席監察官(右)ら=24日午後、鹿児島市
キャプチャ
鹿児島県警へ特別監察に入る警察庁の首席監察官ら=24日午後、鹿児島市
 警察庁は24日、鹿児島県警に対する特別監察を始めた。県警前生活安全部長が国家公務員法違反容疑で逮捕されるなど、職員らの不祥事が相次いだことを受けた措置。野川明輝本部長ら幹部の聞き取りなどを実施し、一連の経緯を検証する。
鹿児島県警本部長に長官訓戒 盗撮事件で捜査状況確認怠る―警察庁
 県警本部の庁舎には午後2時ごろ、同庁の片倉秀樹首席監察官ら3人が入った。
 鹿児島県警では今年に入り、内部文書を漏えいしたとして逮捕、起訴された前生安部長本田尚志被告(60)以外にも、現職警察官3人が相次いで逮捕、起訴された。県警は7月中にも再発防止策をまとめる予定で、警察庁は「スピード感を持ってしっかりと行われるよう、厳正な業務監察を実施する」とコメントした。
 

「捜査の基本に欠けるところがあった」鹿児島県警に警察庁が特別監察 盗撮事件で捜査が2日間中止も(2024年6月24日『KKB鹿児島放送』)
 
キャプチャ
 
キャプチャ2
 
キャプチャ3
鹿児島県警で相次ぐ職員の逮捕や内部資料の流出を受けて警察庁が直接指導を行う特別監察に入りました。
記者リポ
「午後2時です。警察庁の職員が今、県警本部に到着しました。これから特別監察に入ります」
県警本部に入ったのは警察庁の首席監察官ら3人です。
特別監察は定期的に実施される計画監察とは異なり、警察の信頼を揺るがす重大な不祥事があった際に行われるもので、記録が残る2011年以降で今回が4例目です。
県警を巡っては今年4月に入って現職警察官が3人、情報漏えい、不同意わいせつ、盗撮の疑いで立て続けに逮捕されたほか、先週金曜には前の生活安全部長、本田尚志被告が内部の情報を漏らした国家公務員法違反の罪で起訴されています。
捜査関係者によりますと、本田被告の特定につながったのは北海道の記者に届いた書類の内容が幹部しか知らない情報であることに加え、本田被告が退職前に使っていた公用パソコンからその書類を作成したとみられる形跡が見つかったためだといいます。
本田被告は枕崎署の警察官による盗撮事件が浮上した際、野川明輝本部長が隠ぺいしようとしたなどと主張していますが、野川本部長は否定しています。
県警は先週金曜の定例会見終了後の記者説明で、枕崎署の警察官の盗撮事件を巡り、捜査がおよそ2日間中止されていたと明らかにしました。
事件を認知した去年12月下旬、本部から枕崎署の署長には証拠が不足しているため捜査を続けるよう伝達したが、署長から署員に対し捜査を中止するよう誤った指示が出されたというのです。
警察庁は「客観的にみて本部長の隠ぺいの指示はなかったことが明らかである一方で、迅速適確に行われなければならないという捜査の基本に欠けるところがあった」として本部長を長官訓戒の処分にしています。
警察庁は特別監察で本部長など関係者から一連の事案の聞き取りなどを行い不祥事の原因究明と再発防止策を来月をめどに取りまとめる方針です。
県警は「監察が行われることを重く受け止めている。警察庁からの指導を踏まえつつ、再発防止に取り組み県民からの信頼回復に努めて参りたい」などとコメントしています。

警察庁、鹿児島県警に特別監察 不祥事続く組織風土検証(2024年6月24日『日本経済新聞』)
 
キャプチャ
特別監察のため、鹿児島県警本部に入る警察庁の監察官ら(24日午後、鹿児島市)=共同
警察庁は24日、不祥事が続いている鹿児島県警に対する特別監察を始めた。野川明輝本部長ら幹部らへの聞き取りに重点を置き、情報漏洩や逮捕者が相次いだ原因や組織風土の問題点について検証する。特別監察は記録が残る2011年以降で4件目。監察結果も踏まえ、県警は7月中にも再発防止策を取りまとめる。
24日午後、警察庁の片倉秀樹首席監察官ら3人が県警に入った。今回の監察は「特別監察」と呼ばれる。警察法施行令に基づく規則は「警察の能率的な運営またはその規律の保持のため必要があると認めるときに実施しなければならない」と定めている。
県警では前生活安全部長、本田尚志被告(60)が起訴された事件の波紋が広がっている。本田被告は枕崎署員の盗撮事件などに関する文書を外部に送付したとされる。野川本部長が捜査指揮せず「職員の犯罪行為を隠蔽しようとしていた」と訴えた。
野川本部長は隠蔽行為を否定。21日の記者会見では「前部長が私のところに報告や指揮うかがいにきた事実はない」と改めて強調した。県公安委員会も隠蔽した事実は見当たらないとの見解を公表した。
キャプチャ
警察庁は既に野川本部長から事情を聴いた。聴取内容や必要な調査の結果、「客観的に見て本部長による隠蔽の指示はなかったことが明らか」としている。監察を通じて当時の詳しい経緯を改めて確認する。
一方、警察庁は21日、盗撮事件を巡り適切な確認や指示をせず、「捜査の基本に欠くところがあった」として野川本部長を長官訓戒処分とした。
本田被告のほか3人の現職警察官が逮捕され、県警の信頼は揺らいでいる。県の公安委は県警に対し、組織運営への懸念を早期に払拭することや、各幹部が部下と意思疎通を図り、組織として報告や相談がしやすい環境をつくることを求めている。
警察庁は24日、「一連の非違事案の原因分析と再発防止策の確実な実施が警察への信頼回復のため極めて重要だ。県警においてこれらの取り組みがスピード感をもって行われるよう、厳正な監察を実施する」とコメントした。
元福岡県警本部長で京都産業大学の田村正博教授(警察行政法)は「警察庁は隠蔽の指示はなかったと結論づけているとみられるが、(前部長の)公判の推移も踏まえながら必要な説明を尽くすべきだ」とみる。
そのうえで「厳重な管理が求められる捜査情報が相次ぎ外部に流出したのは組織上の問題だ。信頼回復には情報の保護も欠かせず、県警職員一人ひとりの意識を改めるために徹底した取り組みが求められる」と指摘した。

鹿児島県警本部長に長官訓戒 盗撮事件で捜査状況確認怠る―警察庁(2024年6月21日『時事通信 』)
 
 警察庁は21日、鹿児島県警枕崎署員による盗撮事件で、捜査状況をきめ細く確認し、指示すべきだったとして、野川明輝本部長を長官訓戒とした。また、当時首席監察官だった鹿児島中央署長を口頭厳重注意とした。
 警察庁などによると、県警は昨年12月19日に盗撮の被害を把握し、捜査を始めた。犯行に枕崎署の公用車と同じ車種が使われていたため、同月22日、首席監察官が野川本部長に報告。本部長は「署で捜査を尽くすこと」などを指示した。
 ただ野川本部長は、県警が今年3月19日に署員を容疑者と特定するまで、捜査状況の報告を求めなかった。事件は5月10日に本部長指揮となり、同月13日に署員が逮捕された。警察庁は、本部長がきめ細く進捗(しんちょく)を確認すれば、より早期に解決できた可能性があるとした。