「落雷の危険」 南海トラフでは最大15万人孤立(2024年6月19日『産経新聞』)

 
建設中の万博の大屋根。落雷の危険性が指摘された=大阪市

2025年大阪・関西万博の運営主体・日本国際博覧会協会が策定する防災計画の全容が19日、判明した。開催期間中に南海トラフ巨大地震が発生した場合などを想定し、被災した来場者最大15万人を3日間で船舶などで避難させる。計画ではさまざまな災害を想定し、大屋根(リング)上については「落雷の危険性が高い」とみている。

万博は来年4月13日から半年間、人工島の夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)で開催。会期中に約2820万人の来場を見込む。

万博協会は1日の来場者の約7割の最大15万人の帰宅困難者が発生することを想定。島内に取り残された場合、被災した来場者に1日目は場内の飲食店などの食料を提供し、2~4日目は場内に備蓄する60万食で賄う。

震度5弱以上の地震が発生した場合、来場者を屋外避難場所へ誘導した後、一時滞在施設に移ってもらう。来場者の収容ができなければ、移動可能であれば近隣の舞洲(まいしま)や咲(さき)洲(しま)に誘導し、船舶による避難要請も行う。

その他の災害想定では、大阪は7~9月に落雷が多いとし、大屋根の上(高さ最大20メートル)は「落雷の危険性が高い」とした。

会場には最大1700人の警備スタッフのほか、警察や消防、海上保安庁が常駐。約600台のカメラとスピーカーで場内の状況をリアルタイムで把握、緊急時の情報伝達が可能とする。(井上浩平)