万博・海外パビリオン 簡易型への移行進まず、日本が数十億円負担(2024年6月19日『毎日新聞』)

建設が進む大阪・関西万博の会場=大阪市此花区で2024年3月11日、久田宏撮影

建設が進む大阪・関西万博の会場=大阪市此花区で2024年3月11日、久田宏撮影

 2025年大阪・関西万博の海外パビリオンについて、参加国による自前建設から日本国際博覧会協会が建設を代行する簡易型への移行が進まず、建設費を回収できないとして、日本側に数十億円規模の費用負担が生じる見通しになった。19日、複数の協会関係者が明らかにした。2度の増額を経て最大2350億円となった会場建設費の枠内で捻出する方針で、27日に開催予定の理事会で承認を求める。

 参加国が自前で建設する「タイプA」は当初、約60カ国が希望していた。しかし、資材や人件費の高騰で建設業者との契約が難航。協会によると、13日現在、52カ国中31カ国が着工したが、12カ国は建設業者が決まっていない。

 協会は工期短縮の切り札として、簡易型の「タイプX」を提案。Aからの誘導を目指して9棟を建設中だが、移行を決めたのはブラジルなど3カ国にとどまる。一方、協会が用意する共同入居型の「タイプC」には5カ国が移行した。Xの建設費はAと同様に参加国の負担だが、Cは日本側が負担する。

 そのため、Xが余るとその分の建設費を回収できず、日本側に1棟当たり十数億円の負担が生じるという。また、余ったXはCに改造したり、休憩スペースに転用したりする予定で、その分の費用もかかる。関係者によると、予備費を充てることなどを検討しているが、いずれもAの建設が当初の予定通り進んでいれば、必要のなかった出費だ。

 会場建設費は、当初想定の1・9倍に当たる最大2350億円を見込み、国、大阪府・市、経済界が3分の1ずつ負担する。うち、資材や人件費の上昇などを反映させた工事費は2220億円。協会はその6%に当たる130億円を不測の事態に備えて、予備費として確保している。【藤河匠、東久保逸夫、町野幸】