国土交通省は18日、2024年版の首都圏白書を発表した。顕著だったのが、東京都から脱出する子育て世代の多さだ。
東京都への転入超過数(転入者数から転出者数を差し引いた数)自体は2019年に新型コロナの感染拡大をきっかけに大きく減少したものの、2022年、2023年と増加し、元の水準に戻りつつある。
しかし、コロナ前の2019年と2023年で年代別に転入・転出の数を比較すると、2019年は子育て世帯が多い30~40代で東京都への転入が転出を上回っていたにもかかわらず、アフターコロナの2023年には転出が転入を上回り、「人の流れが逆転」(首都圏白書)していたのだ。
数にして、30代で7361人、40代は6334人減っていた。
こうした傾向は総務省の調査でも見られ、東京23区のマンション価格の高騰などを背景に、30代をはじめとする子育て世帯が住宅価格が割安な郊外に引っ越す傾向が強まっていると指摘されてきた。
今回の白書でも、東京23区の住宅価格の上昇率(2019年と23年を比較)は53.8%と、神奈川県・埼玉県・千葉県らと比べて突出している一方で、住宅面積は狭いことが分かっている。
鉄道の定期券利用率もコロナ前の水準には戻っておらず、テレワークが普及する中で、郊外で広い家を持ちたいと考える人が増えるのは納得だ。
両者とも子育て支援に注力する姿勢を見せており、そのほかにも小池氏は「無痛分娩費用への助成」「保育無償化を第一子まで拡大」、蓮舫氏は「本物の少子化対策として現役世代の手取りを増やす」とし、非正規の都職員の処遇改善などを挙げた。
合計特殊出生率が全国で最も低い上に、子育て世代が転出している東京都。再びファミリー層を呼び戻すことができるか。
竹下 郁子