「飛ぶ教室」や「ふたりのロッテ」などで知られるドイツの作家、ケストナーの作品に「五月三十五日」(1932年)がある。「偉大な過去の城」や「電気の都市」など異世界に通じたタンスから、おじとおいが南海へ旅をする
▲今年はケストナーの没後50年。現実に存在しない日付は「何が起きてもおかしくない日」という。想像力が豊かな作家も将来、この日付が特別な意味を持つとは思いもしなかったろう
▲5月32日が6月1日なら35日は4日。35年前に民主化運動が鎮圧された天安門事件の日だ。「六四」の文字すら規制される中国では「5月35日」が隠語になった。香港では5年前、息子を失った老夫婦を描く劇「5月35日」が上演され、高く評価された