天皇皇后両陛下 6月下旬に国賓としてイギリス公式訪問へ(2024年4月27日『NHKニュース』)

 皇室

宮内庁は、天皇皇后両陛下がことし6月下旬に、国賓としてイギリスを公式訪問される方向で準備を進めていくと発表しました。

両陛下の国賓としてのイギリス公式訪問をめぐっては、4年前に当時のエリザベス女王からの招待を受けて両国の間で調整が進められましたが、新型コロナの感染拡大を考慮して延期されていました。

イギリス王室は、ことし2月にチャールズ国王ががんと診断され治療を始めたと発表していましたが、あらためて国王からの招待があったということで、宮内庁は「6月下旬に両陛下にご訪問いただくべく、準備を進めていくこととなった」と発表しました。

関係者によりますと、訪問は1週間程度の日程で、両陛下は首都ロンドンで歓迎行事などに臨むほか、かつておふたりが学んだオックスフォード大学にも訪問される方向で調整が進められています。

天皇皇后が国賓としてイギリスを訪れるのは、昭和46年の昭和天皇香淳皇后、平成10年の上皇ご夫妻に続いて3回目で、両陛下の外国訪問は去年6月のインドネシア親善訪問以来即位後3回目となります。

チャールズ国王 皇太子在任の70年間は英史上最長 

イギリスのチャールズ国王は75歳です。1948年、当時のエリザベス王女とフィリップ王子の長男としてロンドンのバッキンガム宮殿で生まれ、1952年、母親の女王即位に伴って3歳で皇太子となり、イギリスのケンブリッジ大学で考古学や人類学などを学んだあと空軍と海軍に入隊しました。

1981年、32歳のときにダイアナさんと結婚し、ウィリアム王子とハリー王子の2人の子どもをもうけました。しかし1996年に離婚し、ダイアナ元皇太子妃はよくとし、フランスのパリで交通事故のため亡くなりました。

2005年、現在のカミラ王妃と再婚しましたが、高い人気を誇ったダイアナ元皇太子妃との別離とその後の再婚は、国民の間で大きな議論を呼びました。

皇太子として在任した70年間はイギリス史上最長で、その間、高い関心を持つ環境や教育問題などの分野で慈善団体や基金を数多く設立しました。

おととし9月、エリザベス女王の死去を受けてイギリス史上最年長の73歳で国王に即位し、合わせて、カナダやオーストラリア、ニュージーランド、ジャマイカパプアニューギニアなどイギリス連邦の14の国の元首となりました。去年5月にはロンドンのウェストミンスター寺院戴冠式(たいかんしき)を行い、日本からは秋篠宮ご夫妻が参列されました。

チャールズ国王はことし1月、肥大した前立腺の治療のためロンドン市内の病院に入院し、3日後に退院しましたが、このときの検査で前立腺ではない部位にがんが見つかったと発表され、治療を受けるため、一般市民の前に姿を見せての公務は見送っています。

日本には皇太子時代に5回訪れ、上皇さまの即位の礼や、天皇陛下即位の礼に参列しています。

チャールズ国王の「王室外交」

イギリスにとって王室外交は重要なソフトパワーと評され、チャールズ国王の母エリザベス女王は70年間の在位中、120を超える国を公式訪問し、外交の舞台で大きな存在感を示しました。

チャールズ国王はおととし9月の即位以来、初めてとなる外国訪問として去年3月にドイツを、同じ年の9月にフランスを、そしてその翌月にはイギリス連邦の加盟国ケニアの3か国を訪れました。

このうちドイツでは、ロシアによるウクライナ侵攻を非難するとともに「自由と主権を守るためにウクライナと団結する」と述べたほか、ケニアではイギリスの植民地時代の独立運動の弾圧について「弁解の余地のない不当な暴力行為だった」と述べるなど、政治的な発言をほとんどしなかったエリザベス女王に比べて踏み込んだ発言が注目されました。

また、イギリスにはこれまで2か国からの国賓を招き、おととし11月にイギリス連邦の加盟国である南アフリカのラマポーザ大統領を、去年11月には韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領を迎え、ロンドン中心部のバッキンガム宮殿で晩さん会を開くなどしました。

天皇皇后両陛下の公式訪問は、チャールズ国王にとってことし2月にがんの治療を始めることが発表されたあと、初めての国賓の訪問となります。

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