被災した女性たちにぴったりの化粧を施す中野剛章さん(左)=18日、石川県輪島市町野町の東陽中で
「マスカラは斜めにするとよく付きますよ」「眉毛はかくっていうよりも整えるイメージです」
中野さんは5月18日、避難所となっている輪島市東陽中学校体育館で次々にやってくる女性たちと1人ずつ向き合い、豊富な種類からぴったりの化粧道具を選んで、ブラシをはたいた。
自宅が全壊し、この避難所から会社に通う高安静子さん(38)は鏡を見て「自分じゃないみたいで恥ずかしい」と照れ笑いを浮かべた。断水中は化粧を落とせないためできず、復旧してからもしない習慣がついてしまい、震災以来初めての化粧だったという。
◆谷住職「癒やされてほしい」◆
谷住職によると、2月下旬に始め、今回が4回目。寺の中でしていたが、より多くの人が受けやすいようにと場所を変えた。ボランティアを通じて知り合った中野さんから提案された。「震災後は、皆さん女性らしいことを意識できていなかっただろうなと想像できた。何か提供できればと考えていたので、いいご縁があってうれしい」と話す。
中野さんは奥能登地域に通い、珠洲(すず)市内を含めて計50人余りの女性に化粧をしてきた。「笑顔になったり楽しい気持ちになったりしたとの感想をいただけて、メークの仕事をしていて良かったと改めて思わせてもらえた」と手応えを語り、今後も続ける予定という。(西川侑里)
【関連記事】穴水の「碁石入れ」守る!「たとえ自分1人でも」