国民から税を集め、必要な施策に配分するのが政治の役割だ。国会議員が税制度を悪用して優遇を受けるようでは、信頼を失うばかりである。
個人が政党または政治資金団体に寄付した場合、所得税の軽減や還付を受けられる制度がある。これを使って、菅家氏は2018~21年の4年間で政党支部に計2378万円を寄付し、数百万円の税優遇を受けたとみられる。
寄付のうち1289万円は、派閥裏金事件で安倍派から還流された資金が原資だった。この分の控除は148万円に上った。
そもそも、公益性の高い団体への寄付を促進するために導入した制度だ。特定の企業や団体に頼ることなく、幅広い献金で政治資金を賄い、健全な民主主義を育むという理念に裏付けられている。
にもかかわらず、政治家が優遇を受けるのは、法の趣旨にそぐわない脱法行為だ。
「寄付した者に特別な利益が及ぶ」場合は適用されないとの規定はある。政治家個人が自身の後援会や資金管理団体に寄付しても、優遇は受けられない。だが、政党支部については明確な基準がないため、「抜け道」となってきた。
問題はかねて指摘されていた。13年には自民、旧民主、日本維新の会の3党の国会議員計17人が税優遇を受けていたと報じられた。
菅家氏は「何ら法に違反していない」と強弁し、「私だけじゃない」と開き直った。倫理観の欠如にあきれるしかない。