自民党派閥の裏金事件を巡り、パーティー収入の還流を受けていた国会議員が自ら代表を務める政党支部に寄付し、所得税の一部を還付されていたことが相次いで明らかになった。個人献金促進のための税制を議員が悪用し、税優遇されていたことは許容できない。今国会での制度改正を求める。
租税特別措置法では、個人が政党に寄付した場合、寄付額の約3割が税額控除されるか、課税対象の所得総額から寄付分が差し引かれる。両氏は適法な寄付控除だと主張するが、個人献金を促す法の趣旨に反することは明白だ。
政党支部は政治家の「第2の財布」と呼ばれる。政治家が個人の資金を支部に寄付しても自由に使うことができ、自分の懐は痛まない。党支部への寄付を議員の資金管理団体に還流させることも可能で、個人献金とは言い難い。
課税されるべき裏金を原資に寄付控除を受けていたのなら、二重の税逃れであり、さらに悪質だ。政治家がこの制度を用いて税優遇を受ける問題はかねて指摘されてきたが、裏金事件を受けて制度の不備がより鮮明になった。