「花腐し」第33回日プロ大賞で作品賞、監督賞など4冠、主演男優賞は光石研と松山ケンイチ(2024年5月31日『日刊スポーツ』)

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「花腐し」(C)2023「花腐し」製作委員会
 第33回(23年度)日本映画プロフェッショナル大賞の受賞者、作品が31日、発表された。
 荒井晴彦監督(77)の「花腐し」が作品賞、監督賞、さとうほなみ(34)の新進女優賞、2023年ベストテンの1位に選ばれ、4冠に輝いた。
 主演男優賞は「逃げきれた夢」(二ノ宮隆太郎監督)で12年ぶりに映画に単独主演した光石研(62)と、「ロストケア」(前田哲監督)でプロデューサー的な立場も務めた松山ケンイチ(39)が受賞。主演女優賞は「658km、陽子の旅」(熊切和嘉監督)の菊地凛子(43)が受賞した。その他の賞、ベストテンは以下の通り。
 <新人監督賞>
 金子由里奈監督(28=「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」)
 <特別賞>
 「福田村事件」製作チーム
 <特別功労賞>
 藤竜也(82=「高野豆腐店の春」及び、長年の功労に対して)
 <ベストテン>
 <1>「花腐し」(荒井晴彦監督)
 <2>「福田村事件」(森達也監督)
 <3>「ほかげ」(塚本晋也監督)
 <4>「愛にイナズマ」(石井裕也監督)
 <5>「アンダーカレント」(今泉力哉監督)
 <6>「渇水」(高橋正弥監督)
 <7>「市子」(戸田彬弘監督)
 <8>「PERFECT DAYS」(ヴィム・ヴェンダース監督)
 <9>「正欲」(岸善幸監督)
 <10>「リバー、流れないでよ」(山口淳太監督)
 授賞式は、7月6日に東京・テアトル新宿で開催の予定。
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解説
「火口のふたり」の荒井晴彦監督が綾野剛を主演に迎え、芥川賞を受賞した松浦寿輝の同名小説を実写映画化。原作に“ピンク映画へのレクイエム”という荒井監督ならではのモチーフを取り込んで大胆に脚色し、ふたりの男とひとりの女が織りなす切なくも純粋な愛を描く。
廃れつつあるピンク映画業界で生きる監督の栩谷は、もう5年も映画を撮れずにいた。梅雨のある日、栩谷は大家からアパート住人に対する立ち退き交渉を頼まれる。その男・伊関はかつて脚本家を目指していた。栩谷と伊関は会話を重ねるうちに、自分たちが過去に本気で愛した女が同じ女優・祥子であることに気づく。3人がしがみついてきた映画への夢が崩れはじめる中、それぞれの人生が交錯していく。
綾野が栩谷を演じ、「火口のふたり」にも出演した柄本佑が伊関役、「愛なのに」のさとうほなみが祥子役で共演。( 映画.com)
2023年製作/137分/R18+/日本
配給:東映ビデオ
劇場公開日:2023年11月10日
 
 

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解説
光石研が12年ぶりに映画単独主演を務め、人生のターニングポイントを迎えた男が新たな一歩を踏み出すまでの日々をつづった人間ドラマ。
北九州の定時制高校で教頭を務める末永周平は元教え子の平賀南が働く定食屋を訪れるが、記憶が薄れていく症状に見舞われ、支払いをせずに立ち去ってしまう。ふと周囲を見回してみると、妻・彰子との仲は冷え切り、娘・由真は父親よりもスマホ相手の方が楽しそう、さらに旧友・石田との時間も大切にしていなかったことに気づく。これからの人生のため、これまで適当にしていた人間関係を見つめ直そうとする周平だったが……。
元教え子・南を吉本実憂、妻・彰子を坂井真紀、娘・由真を工藤遥、旧友・石田を松重豊が演じる。「枝葉のこと」などで国内外から高く評価された二ノ宮隆太郎監督が、「2019フィルメックス新人監督賞」グランプリを受賞した脚本をもとに自らメガホンをとった商業デビュー作。
2023年製作/96分/G/日本
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2023年6月9日