岸田首相は「下野」の悪夢を阻止できるのか
【ニュース裏表 安積明子】
同26日投開票の静岡県知事選でも、自民党が推薦した大村慎一元副知事が、立憲民主党や国民民主党が推薦した鈴木康友元浜松市長に敗れた。自民党は、上川陽子外相以外は応援のマイクを握らず「政党カラー」を消す戦術に徹したが、及ばなかった。
これは、東京都の小池百合子知事の敗北でもあった。井沢氏のポスターには「応援します小池百合子」と顔写真付きのシールが貼られ、「井沢さんは同志」と語るメッセージ動画も流された。だが、応援の効果はなかったのだ。
小池氏にとって、都議補選の敗北は、4月21日投開票の目黒区長選、同28日投開票の衆院東京15区補選に続く〝3連敗〟だ。7月7日投開票の都知事選では、前回のように300万票超を獲得する勢いは望めなくなる。
立憲民主党の蓮舫参院議員が27日、都知事選出馬を表明するなか、現職の小池氏は3選を果たせるだろうか。問題は、選挙戦における小池氏の〝神通力〟を頼みにしてきた萩生田光一会長率いる自民党東京都連だ。小池氏が力を発揮できなければ、次期衆院選をどう戦うのか。
永田町では、さまざまな憶測が流れている。
例えば、内閣改造・党役員人事による「石破茂幹事長登用説」は、世論調査で「ポスト岸田」最右翼の石破氏の総裁選出馬の芽を潰すためだろう。そうなれば、茂木敏充幹事長は総裁選を目指して動くだろうが、岸田首相には脅威ではない。
延命画策情報が広まる岸田政権の姿は、支持率低迷にもがき苦しみ、〝解散風〟が吹いては止んだ2009年の麻生太郎政権末期を思い出させる。