小池都知事「出馬要請」に“自作自演”疑惑…「実質的な『踏み絵』」と立憲都議が舞台裏を明かす(2024年5月30日『日刊ゲンダイ』)

 
出馬しない可能性はほぼゼロなのに、開会初日には表明せず(所信表明演説をする小池百合子都知事=昨30日)
この記事の画像を見る(2枚)

「小池劇場」に翻弄されている。東京都議会の定例会が29日、開会。7月30日に任期満了を迎える小池都知事にとって、2期目最後の定例会だ。都知事選(来月20日告示、7月7日投開票)に向けて出馬表明するとみられていたが、肩透かし。大新聞やワイドショーはあっさりと予想を裏切った小池知事の動向を固唾をのんで見つめている。世の中に絶対はないが、出馬は既定路線。表明時期よりも、小池知事による露骨な「踏み絵」の方が問題だ。
  ◇  ◇  ◇
「まずは議会にしっかりと取り組んでいくことが現職の務め」──。29日の本会議終了後の会見で、出馬表明の時期を問われた小池知事は、そうはぐらかした。イメージカラーの緑ではなく水色の千鳥格子柄のジャケットに身を包み、「行政は継続してこそ力なりってあります」と3選出馬へのにおわせも忘れなかった。
 どうせ出馬するのだからサッサと「出る」と言えばいいのに、もったいぶるのは女帝ならでは。じらしにじらして一分一秒でも長く注目を浴びるための常套手段である。

古臭い自民党と同じ穴のムジナ

「小池劇場」のただの一幕パフォーマンス?(C)共同通信社

これでは“小池知事による小池知事のための要請”じゃないか。まさか自作自演なのか。改めて鈴木都議に聞いた。
蓮舫議員が出馬表明した27日、地元自治体の議員が集まる場で耳にした話です。市長会と区長会で、ある首長が小池知事からの要望をにおわせつつ、小池知事の出馬への賛同を募っていたというのです。知事は表立って『依頼した』とは言わないでしょうけど、ある自治体の市長は『知事からと受け止めている』『賛同しない場合は報復があるかもしれず、受け入れざるを得ない』と言っていました。出馬要請した首長を責めるつもりはありません。都と市区町村のパワーバランスを考えれば、従わざるを得ない部分もあるでしょう。実質的な『踏み絵』ですよ」
 市長会と区長会に小池知事から依頼があったのか問い合わせると、「事務局として把握していない」と口をそろえた。
 2016年の都知事選では、自民党が前岩手県知事の増田寛也氏の擁立を目指す中、都内21人の区長が出馬要請。この古臭い体質に「ノー」を突き付けて旋風を起こしたはずの小池知事も、結局は同じ穴のムジナだ。今回の出馬要請に賛同しなかった世田谷区の保坂展人区長がこう言う。

「本来、首長がそろって出馬要請すれば、知事にとって『画になる』のでしょうが、都民に不自然さを見透かされているように思います。実際、賛同した側よりも賛同しなかった側にスポットが当たっている状況です。小池知事に対する世間の“空気感”を表しているように思えてなりません」

「画作り」のためのパフォーマンスも世間の空気を読めなくては逆効果。「小池劇場」の終わりも近い。