全国で相次ぐ首長のパワハラ 客観性確保へ第三者委や百条委で事実確認の動き(2024年5月30日『産経新聞』)

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各地の自治体で発覚した首長によるパワハラ
全国の自治体で近年、首長による職員へのパワーハラスメントなどが相次いでいる。発覚後の調査と事実認定に際しては客観性を確保すべく、第三者委員会や議会の調査特別委員会(百条委員会)を立ち上げるケースが目立つ。
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愛知県東郷町では昨年11月、当時の井俣憲治町長のパワハラ疑惑が報じられた。幹部会議での言動を問題視した職員が非公式に役場内でアンケートをとったところ、複数の被害の訴えがあった。
町はその後、改めて結果の回収や取りまとめを外部に委託してアンケートを実施。職員739人のうち108人がパワハラやセクハラなどの被害を訴え、第三者委員会が信用性を認定し、井俣氏は今月2日に辞職した。
同町の担当者は「町議会からは職員が独自に行ったアンケートでは公平性に欠け、プライバシーの配慮も難しいとの指摘があり、外部に委託して2度目のアンケートを実施した」としている。
福岡県宮若市では昨年11月、複数の職員が塩川秀敏市長によるパワハラ被害を訴えた。窓口となった市公平委員会は他の自治体職員OBらで構成され、市長や職員に事情を聴いた上で、今年2月にパワハラを認定する勧告書を塩川氏に提出。塩川氏は市議会でパワハラを認めて謝罪した。百条委が調査を続けている。
議会を通じて疑惑が公になった例も。今年3月、福岡県吉富町議会の一般質問で、町議が花畑明町長のパワハラにより職員が自殺未遂をしたと指摘。花畑氏は否定したが、翌4月に弁護士や医師でつくる第三者委員会が設置され、10月に調査報告書をまとめる予定だ。(宇山友明、山本考志)