岐阜県多治見市生田町の墓石設計・施工会社「石政佐藤石材」は、地域墓地の管理をサポートする「東濃墓地管理センター」事業に乗り出した。世話役の高齢化や不在で墓が荒れるケースも見られる中、草刈りや通路補修にとどまらず、管理者の候補選びや管理組合の組織化、管理料の集金なども支援するのが特徴。墓地管理士資格を持つスタッフが担当し、地域墓地の存続を後押しする。
同社によると、多治見市の場合、墓地は八十数カ所あり、市や寺以外の町内会や管理組合など地域で管理する墓が約7割を占める。法律では管理者を置くことが定められているが、管理者がおらず、1、2人の有志で世話をしている所もある。利用者が把握できない無縁墓が増え、雑草が茂り倒壊の恐れもあり、墓が荒れる要因になっている。同社は以前からボランティアで草刈りなどをしていたが、「管理者の後継者がいない」「維持管理がうまくいかない」といった相談が寄せられたことから事業化した。 管理者候補の選定や利用者の総会開催、ドローン撮影による区画配置図の作成、それに基づく利用者の調査・名簿作成を実施。墓地管理規約作り、管理費の決定、管理費の請求や入金管理も担う。法的手続きを踏む無縁墓地の整理や、空き区画の利用者募集など運営も手助けする。墓地の状況に応じサービスを選べる。
事業は1年前にスタート。多治見市、土岐市の墓地8カ所(計約千区画)を管理しているが5年後には東濃5市の3千区画に増やすことを目指す。佐藤裕基社長(35)は「地域コミュニティーづくりや景観維持の役に立てる事業。墓石の仕事につながる可能性もある。各地の石材店や行政と連携して進めたい」と話した。