総選挙は2019年以来で、25年1月までに実施する決まりだった。スナク氏が22日、インフレの沈静化などを踏まえ、大方の想定より早期の解散を表明した。
下院の定数は650。現在は保守党が345議席、労働党は206議席をもつ。労働党が議長らを除いた実質的な単独過半数をとるには110議席を超える上積みが必要になる。
英ユーガブの23~24日の世論調査によると、労働党の支持率は44%と保守党の2倍。英国の多くの専門家やメディアは労働党が過半数を得て政権を奪還するとみる。
スナク政権は個人や企業への減税を進めてきた。労働党は私立学校や外国人への増税で財源を捻出し、教員や公的医療サービスを拡充する方針を示す。
労働党は19年の総選挙で企業や富裕層の増税など強硬な左派路線を打ちだして大敗した。今回は法人増税を封印し、経済を優先する姿勢に徹している。
20年のEU離脱を主導した保守党はインド太平洋地域を重視し、スナク政権で環太平洋経済連携協定(TPP)に参加した。日本とは次期戦闘機の共同開発に取り組む。労働党は伝統的にEUに重きを置く。離脱を機に冷え込んだ関係の修復を掲げる。
スナク氏の肝煎りだった、不法移民をアフリカのルワンダに強制移送する法律が4月に成立した。総選挙に勝てば移送を始めるとしている。労働党はルワンダへの移送を取りやめ、かわりに国境警備の強化で対応すると主張する。
保守党は26日、1960年に廃止した徴兵制を復活させる計画を明らかにした。18歳を対象に12カ月間の兵役を導入するという。労働党のスターマー党首は25日、政権を奪還できれば選挙権年齢を現在の18歳以上から16歳以上に引き下げると表明した。