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長期政権下での権力の腐敗を指弾し、「政権交代は絶対にできる」「今は夜明け前」と繰り返し訴えてきた前明石市長の泉房穂氏。その主張に対し、「泉房穂に騙されるな」「風見鶏」などと批判が噴出している。しかし、泉氏はバッシングに真っ向から抗うように新刊『政権交代、始まる 炎上上等! タブーなき政治の真実』(光文社、5月14日発売)を出版。本人にその意図を直撃した。
数々の相手にケンカを仕掛ける
明石市での弁護士時代
「私は右・左や保守・革新といった二項対立を越え、既存の座標軸そのものを動かそうとしています。だから、叩いてくるのは、古い座標軸にこだわって発想の転換ができない人々。反発は想定の範囲内で、痛くも痒くもない。むしろ、それは『産みの苦しみ』であり、時代が確実に政権交代に向かっている証やね。
新刊は、私が明石市長をやめた直後の2023年5月から『週刊FLASH』で日々のニュースを斬る連載を開始し、それをまとめたものです。連載を始めた頃は、広島サミットで政権の支持率が上昇していたし、維新にも勢いがあった。その後、支持率は急落し、維新も失速。状況は一気に変わった。今、世論の半数が政権交代を望み、本のタイトルはまさにタイムリーやったと思う。各節に込めたメッセージとともに、怒涛の1年を体感してもらえたら」
政治家としては歯に衣着せぬ発言で舌禍を招き、“炎上市長”が代名詞に。本書でもその名の通り、数々の相手に“ケンカ”を仕掛けネットを沸かせてきた。
「一番ケンカを売った相手は、やっぱり岸田文雄総理。異次元の少子化対策の中身から、1年限定の定額減税、能登半島地震への対応などどれを取っても全然ダメ。自民党の派閥や裏金問題も集中的に論じたし、検察の弱腰については過去の『三井環事件』などを挙げて徹底的に批判した。
何より、相手から返答が来て“場外戦”になったのは面白かったね。『お偉いさんたちは、スーパーで買い物をしたことがない』と財界批判をすると、経済同友会の代表幹事でサントリーHDの新浪剛史社長が『失礼なことを言うな。スーパーにも行くし、コンビニにも行く』と言い返してきた。スーパーに行ったことがあるかどうかではなく、『スーパーでお金の心配をしたことがあるか』という意味で言ったんやけど、論点がまるでズレとるね。また、『政治とカネ』のテーマでホリエモンに言及したら、お怒りを招いたこともあった。後で謝罪し、今は元の関係に戻っている。
そして、かつて憧れのジャーナリストだった田原総一朗さん。私は『朝まで生テレビ! 』(テレビ朝日系)のスタッフを務めたこともあったけど、最近は番組がつまらなくなったと書き、田原さんに『今が去り際』と訴えた。しかし、田原さんは『面白い』と言ってくれ、それがきっかけで対談することになり、その内容は書籍にもなった。ほんまに懐の深い人やと思う」
弱者の味方として戦う
「ネタバレになるから詳しくは言わんけど、弁護士になろうと思ったのも石井さんの言葉がきっかけ。もともと大学では教育学部に入り、哲学が好きだった。法律なんか嘘ばっかりで、『なんで学ばなあかんねん』と思っていたほど。石井さんの秘書を務めていた時、『政治家になるなら、まずは弁護士になりなさい。明石に帰って困っている人のためになりなさい』とすすめられた。今はほんまに石井さんに感謝しています。
弁護士の仕事は『人助け』。私は弱者の味方としてさまざまな敵と戦った。例えばサラ金。返済の追い込みをかけてくる業者には事務所全員で電話をかけまくり、向こうには『やめてください、仕事になりません』と言われたけど、『お前らのやってることと同じや』と言うてやったわ。過払い金請求なんかは、5千円の報酬でもやったからね。普通、弁護士は100万円くらいの案件から着手するけど、私は弱者から金を取らない主義で、自腹も切った。そこまでする私に、まわりの弁護士は唖然としてたわ。
高齢者や子供の案件にも力を入れた。認知症で判断力が低下したおばあちゃんや、親に捨てられた子の後見人になった。ある時、親がいない中高生の兄妹の父親代わりになって、事務所の裏にアパートを借りて住まわせたこともある。政治家も『世のため人のために尽くす』のが仕事やけど、それを実践していると胸を張って言える人はどれだけいるんやろね」
泉氏の政権交代の構想によると、現在は「大同団結」を呼び掛ける段階。地方から国政に物を申してきた御意見番は、真の目的である「救民内閣」の実現を確信している。
泉 房穂
政権交代、始まる炎上等!タブーなき政治の真実 単行本ソフトカバー – 2024年5月14日
泉 房穂(著)
異次元の少子化対策、財務省支配、派閥、裏金…ニュースに隠れた権力の急所に一撃!今は夜明け前。「救民内閣」 実現まで本音を叫ぶ!原点は「冷たい社会への復讐」ーー「やさしい街に変える」と10歳で明石市長になることを誓い、47歳で当選。全国に先駆けた施策で10年連続の人口増加と8年連続の税収増を達成した。地方から国政を撃つ御意見番が、庶民を苦しめる国家のカラクリを暴くニュース解説。オセロの石のように選挙区を一つひっくり返せば、政権交代は実現する!「国民の意識を変えた政治」への7つのステップ①「世論喚起」社会は変えられるという空気の醸成②「大同団結」救民内閣の大義のもと各党が手を組む③「候補者調整」:予備選の実施と重複立候補の禁止④「政権交代」:ゴールではなくスタート⑤「方針転換」:国民のために官僚を動かす政治へ⑥「国会での可決」:法案が通らなければ解散を断行⑦「令和の大改革」廃県置圏や首相公選制の導入