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山形県長井市は、市役所庁舎の窓口に、音質がクリアな軟骨伝導イヤホンを県内自治体で初めて導入した。手続きなどで来訪した高齢者らが聞こえづらい場合に使ってもらい、職員との応答の円滑化を期待する。
軟骨伝導イヤホンは耳付近の軟骨を振動させて音を伝える仕組み。集音器で相手の声を拾い、穴がない球形のイヤホンを耳たぶや耳の裏に添えるだけで聞こえやすくなる。雑音が少なく、従来の骨伝導イヤホンに比べて頭部を締め付ける痛みや音漏れが低減できるという。
全国の自治体や信用金庫などへの普及を進める城南信用金庫(東京)が仲介し、京都の企業が製造した2万9480円のセットを5台購入した。来庁者の希望に応じて各課で活用する。
長井市役所で17日に記者発表があり、内谷重治市長は「包括的な社会の実現に向け、誰もが利用しやすい市役所を目指したい」と意義を説明。2004年に軟骨伝導を発見した奈良県立医科大の細井裕司学長も同席し、「高齢者が生き生きと活躍する社会づくりの手伝いができる」と強調した。
デモンストレーションもあり、土屋正人教育長が窓口で職員とアクリル板越しで会話を体験。「余計な音が入らず、すごく明確に聞こえる」と効果を語った。
城南信金によると、イヤホンは福島県白河、南相馬両市など全国の約50自治体が導入。川本恭治理事長は「今回を契機に東北各地にも導入が広がっていけばいい」と話した。
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