30年続いた難題に決着 国内最悪の汚染廃棄物、処分場建設へ(2024年5月20日『毎日新聞』)

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コンクリートやガラスに固化されたダイオキシン豊能郡環境施設組合が一部を保管している=大阪府豊能町で2024年4月9日午後4時48分、中田敦子撮影
 大阪府豊能、能勢両町でつくる「豊能郡環境施設組合」のごみ焼却施設で起きた国内最悪レベルのダイオキシン汚染問題で、廃棄物の最終処分を目指す組合が6月、豊能町の処分場建設予定地周辺で環境影響評価(環境アセスメント)を始める。安全性への懸念もある中、環境への影響を数カ月かけて調べる。約30年にわたって地域社会に影を落としていた問題が、解決に向けて動き出した。
 この問題を巡っては、1997年に組合が管理する「豊能郡美化センター」(能勢町)のごみ焼却施設の排ガスから基準値を超えるダイオキシンを検出。周辺の土壌では国内最高濃度の汚染が発覚した。
 施設は解体されたが、廃棄物の処分を担う豊能町は最終処分先が決まらずに対応が迷走。2016年には神戸市に無断で市内の処分場に持ち込んでいたことが発覚して問題となった。
 20年以降も、豊能町内での埋め立てを目指す町側と反対する住民の間で溝が深まっていた。昨秋、固化処理済みの廃棄物を埋め立てる処分場の建設計画を進めることで地元自治会が合意した。
 町によると、3月下旬から予定地の地質を調べるボーリング調査を実施した結果、中間報告で「地盤の強度は十分で大きな問題はない」との結論が出たという。町は6月初旬からの環境アセスメントを経て、24年度中の施設の完成を目指している。【中田敦子】