◆フリースクール調査で家族への影響浮き彫り
「子どもが不登校になって保護者に起きた変化」は、「気分の落ち込み」「孤独を感じた」がともに5割超。精神面の変化が多い一方で、「仕事を辞めざるを得なかった」が35人と18.7%だった。このうち6割の20人が、小学校の低、中学年で不登校になった児童の保護者だった。
◆親がほしい情報と学校が提供する情報にギャップ
子どもが不登校になった際、学校から情報提供があったかとの質問には、約5割が「なかった」と回答。情報提供があった保護者にその内容を聞くと、教育支援センターなど公的機関の支援内容が38%、不登校の相談窓口が23%だった。
一方で、保護者が必要と思った情報で多いのは、相談窓口63.6%、フリースクールなど民間支援の内容53.5%、学校以外で支援を受けた場合の出席扱い49.7%などが多かった。
調査に協力したジャーナリストの石井しこうさんは「必要とする情報について、保護者と学校とに認識ギャップがある。不登校の情報を提供すると『見放した』という印象を与える、と学校が考えるからではないか。学校は日常的に不登校について情報提供してほしい」と話していた。
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◆原因不明の吐き気に苦しむ娘、思いを知るまで約半年
「毎日の生活費をどうするか、娘の体調がいつ回復するのか。相談できる相手もなく孤独でした」
不登校になった長女(左)の看病のため仕事を辞めた経験などを話す里海慧さん
長女は4年生の11月、新型コロナウイルスに感染し学校を欠席。2週間で回復したが、吐き気が続き、小児科でも原因がわからず、3学期も欠席が続いた。
里海さんはひとり親で、長女と、要介護認定を受けている父親と3人暮らし。以前はコールセンターで契約社員として働いていたが、往復3時間かかる勤務先に、体調不良の長女を家に置いて通えず、やむなく退職した。
小児科に「吐き気で診断書を出せない」と言われ、自己都合退職扱いになり、失業保険がすぐには出なかった。副業で始めたライトノベル作家の印税などで、辛うじて生活していた。
長女は5年生の1学期から登校を再開したが、数週間後に吐き気が再発し、欠席。この頃、ずっと初診予約待ちだった小児精神科をようやく受診できた。里海さんは初めて「学校へ行きたくない」という長女の思いを知った。インターネットで探したSOZOWスクールに10月から入学させた。長女の吐き気は収まり、自宅学習などして過ごしている。
「学校へ行きたくないと言ったら嫌われると思い、言えなかった」。長女は、当時の思いをこう話す。
里海さんは「学校からの情報があまりにも少ないと感じた。当時、不登校の子どもがいる親同士で話せる機会があれば、不安が和らいだと思う」と話していた。