防衛省内では当初、基地にはドローンの探知機能があるため、本物の動画のはずがないという見方が多かった。だが、先週になって木原防衛相は「実際に撮影された可能性が高い」と発表した。
関係者によると、中国人がいたずら目的で撮影した模様だ。
横須賀基地には海自の司令部機能が集まっている。もしドローンが攻撃型で、爆弾を落としていたらただ事では済まされなかった。警備が 脆弱ぜいじゃく で、ドローンを捕捉できなかったという事実は重い。
横須賀は、米国外にある米軍基地のうち、唯一の空母の拠点だ。日本の技術者は質の高い保守・点検機能を提供しており、米国から信頼されている。日本側の落ち度でドローンの侵入を防げなかったことは、ゆゆしき事態だ。
防衛省が、動画の真偽を確かめるのに1か月以上を要したことも問題だ。木原氏は「動画が加工、 捏造ねつぞう された可能性を含め、慎重に分析した」と釈明した。
最近は、生成AI(人工知能)を使って誰もが簡単に巧妙な偽動画を作れるようになった。
真偽不明の情報が氾濫する中、判断を誤ったり、正確に事態を見極めるのに時間がかかったりしてしまう。今回は、その危険性が現実のものになったと言える。
偽情報や偽動画を流して他国の世論に影響を与えようとする「情報戦」が世界中で行われるようになった。情報の分析能力の向上もまた、重要な課題である。