罪のない市民の命が奪われ、飢えた子どもが爆音におびえる。この「地獄」を終わらせることはできなかった。
仲介役のエジプト、
カタールなどは、
ハマスが捕らえている人質を段階的に解放し、戦闘を
終結させる休戦案を示した。
ハマスが受け入れを表明する一方、
イスラエルは「恒久的な停戦」には応じられないと拒否した。
ハマスが
イスラエルを奇襲攻撃して始まった戦闘は7カ月を超えた。ガザでの死者は約3万5000人に上り、7割が女性や子どもとみられている。
ハマス壊滅と人質解放を急ぐ
イスラエルは、
ガザ地区最南部ラファへの侵攻を計画する。エジプトとの境界に軍部隊を展開しており、人口密集地へ投入する構えだ。
ラファには、北部や中部からの避難民を含む約150万人が身を寄せる。本格侵攻があれば、犠牲者が急増するのは確実だ。
そのため
アラブ諸国は「重大な人道危機を伴う」と警告し、日本や欧米も反対している。
国際司法裁判所(ICJ)は1月、
イスラエルにジェノサイド(集団虐殺)を防ぐあらゆる措置を取るよう命じた。これ以上犠牲を出すことは許されない。
国連などによると、多くの住民が栄養不足や飢餓の状態にあり、大半の
医療機関は機能不全だ。
世界では、
イスラエル政府の強硬姿勢に批判が広がっている。最大の支援国・米国でも、若者たちが大学で抗議活動を続ける。
バイデン
米大統領はラファが本格侵攻された場合、「兵器の供給をやめる」と表明した。これに対し、
イスラエルのネタニヤフ首相は「単独でも戦う」と反論した。
侵攻は
イスラエルの孤立をさらに深め、安全保障環境を悪化させるだけだ。ネタニヤフ氏は国際社会の警告を重く受け止めなければならない。