▼ニック氏にはAPの写真記者の兄がいたが、戦争取材中に27歳で死亡。遺志を継ぎ同じ道に進んだ(藤えりか『「ナパーム弾の少女」五〇年の物語』)
▼昨年12月配信の共同通信ガザ通信員ハッサン・エスドゥーディー氏の手記でも状況は分かる。20代。ガザで取材しエルサレム支局に伝える仕事で両親や兄もガザにいる。「16階にあるオフィスの窓からは空爆の炎や黒煙が見え、市民の泣き叫ぶ声が響く」。殉職した同業者もいる。さらに数カ月たち状況は深刻化したことだろう
▼ニック氏の兄は生前、過酷な現実を写真で世界に伝えベトナムに平和を、と願った。ニック氏はナパーム弾の現場を撮った際に「この写真で、今度こそ戦争を終わらせてほしい」と言われた気がしたという。ガザにはあとどれぐらい、写真や記事が必要なのだろう。