「盤石の大阪でなぜ…」ひそかに敷かれた維新包囲網 公認敗北の大阪・大東市長選の舞台裏(2024年5月6日)

対する大阪維新。府内43自治体のうち21人の首長を擁し、大東市長を押さえれば過半数となる節目の戦いでもあった。

だが、そうした位置付けとは裏腹に、候補者探しは難航。昨年地元の維新府議が離党、辞職したため、大東市などを含む衆院大阪12区選出で、国政政党「日本維新の会」の藤田文武幹事長に擁立作業を全面的に委ねた。

もっとも、関係者によれば、藤田氏が当たりをつけた中央省庁の官僚らは、いずれも首を縦に振らなかったという。結局、前回市議選でトップ当選を果たしたベテランで、大阪維新の市議団幹事長を務めていた元市議(58)に落ち着く。

公認発表は告示まで1週間を切ったタイミングで、2月14日に出馬を表明した逢坂氏と比べて明らかに出遅れた。ただ逢坂陣営は選挙自体が初めてで、組織力で勝る維新にはこの時点でも焦りはなかった。

だが、維新を取り巻く情勢は予想以上に思わしくなかった。旗振り役を務める2025年大阪・関西万博の会場整備費が当初想定から大幅に増加、工期の遅れも相まって維新への風当たりは強まっていた。

さらに東京15区や長崎3区など衆院3補選とも時期が重なり、吉村洋文代表(大阪府知事)が現地入りできたのは告示前の一度きりだった。

こうしたマイナス要素を選挙のたびに吹き飛ばしてきた「最後は維新」という無党派層を中心とした風が、今回の市長選では吹かなかった形だ。

一方、市議選では維新は改選前の4人から1人増やした。維新人気の堅調ぶりを示す結果ともいえるが、全当選者の獲得票数は前回から877票減らしている。中堅議員は「局所的敗北と楽観視できない」と、今回の市長選の結果に危機感を募らせている。(矢田幸己)

 

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