重いてんかんと知的障がいがある少女と、その家族の日常を40年以上にわたり追い続けたドキュメンタリー映画が完成した。「大好き~奈緒ちゃんとお母さんの50年~」。伊勢真一監督(75)は「めいの生きる力に引っ張られるように撮影を続けてきた。家族の歩みは、そのまま命の大切さのメッセージになっている」と話す。
映画の一場面。西村信子さん(左)と奈緒さん=いせフィルム提供
◆シリーズの集大成
カメラは、伊勢監督のめいの西村奈緒さん(50)と、その母信子さん(80)、父大乗(おおのり)さん(78)、弟記一さん(47)の家族が織りなす泣き笑い、悩み、葛藤、あつれきを、ありのままに映す。
医者からは「長く生きられない」といわれた奈緒さんは50歳を迎え、80歳の信子さんは終活を意識する年となった。伊勢監督は「1人の母親が娘の成長のために奮闘し、地域に支えられながら、社会福祉法人を立ち上げた。映画が、一人一人が生きやすい社会をつくることを考えるきっかけになってほしい」という。
◆4月27日に日比谷、5月11日に横浜で完成上映会
いずれも新作「大好き~」の上映と、伊勢監督と西村信子さんのトーク、第1作「奈緒ちゃん」の上映がある。入場料は、1日通し券3500円(前売り3000円)、障がいのある方1000円。予約・問い合わせは、いせフィルム=電03(3406)9455=へ。今後、東京・新宿のK’s cinemaなどで、順次公開予定。(小国智宏)
映画『大好き 〜奈緒ちゃんとお母さんの50年〜』
完成上映会!!
伊勢真一監督 2024年 最新作!
奈緒ちゃんシリーズ 第5作!
『大好き〜奈緒ちゃんとお母さんの50年〜』完成上映会
”いのちの記憶”
「長くは生きられない…」と医者に言われた障がいのある姪っ子・奈緒ちゃんが五十歳になりました。
『大好き』は五十年におよぶ、いのちの記憶です。
(かんとく・伊勢真一)
〈東京〉4月27日(土)
会場:東京 日比谷図書文化館
B1F 日比谷コンベンションホール
〈横浜〉5月11日(土)
会場:横浜・泉区 泉公会堂
(相鉄線「いずみ中央」駅 徒歩5分)
TEL. 045-800-2470
最新作『大好き 〜奈緒ちゃんとお母さんの50年〜』
(110分/2024年)
映画『奈緒ちゃん』で始まった、重いてんかんと知的障がいを併せ持つ姪っ子 奈緒ちゃんの映画創りは奈緒ちゃんの元気に引っ張られるように続編を成長の過程で生み、《奈緒ちゃんシリーズ》と名付けられます。そして、奈緒ちゃんは元気に50歳を迎えました。いつも奈緒ちゃんのすぐそばで共に生きてきたお母さん、私の姉の西村信子は80歳。50年間におよぶ「いのち」の記憶をまとめようと思い立ちました。奈緒ちゃんシリーズ第5話は、観る人一人ひとりの“「しあわせ」のようなもの”を、まるで鏡のように映し出す映画です。
各日 13:30〜『大好き』上映
★上映後トーク:
伊勢真一監督 (映画『大好き』監督)
西村信子さん(奈緒ちゃんのお母さん)
奈緒ちゃんシリーズ 第1作目 同時上映!
『奈緒ちゃん』
(98分/1995年)
伊勢長之助と仕事を共にしたスタッフによる製作。伊勢長之助の孫、奈緒ちゃんはてんかんと 知的障がいを持って生まれました。奈緒ちゃん一家の日常を12年間にわたり見つめ続け、“しあわせ”について問いかけます。
映画はその後、“奈緒ちゃんシリーズ”として42年間撮り続けられ、最新作『大好き』にたどり着きます。
〈4/27 東京〉11:00〜『奈緒ちゃん』上映
★上映後トーク:
伊勢真一監督 (映画『奈緒ちゃん』監督)
〈5/11 横浜〉10:30〜『奈緒ちゃん』上映
★上映後:
〈料金〉各回トーク付き 2,000円
*1日通し 3,500円(前売り:3,000円)
*障がいのある方1,000円 *価格は税込です
〈予約・問合せ〉いせフィルム
090-1059-5863(西村)
主催:いせフィルム 協賛:エーザイ株式会社
解説
てんかんと知的ハンディキャップをあわせ持つ少女・奈緒ちゃんの成長と、彼女の家族を追ったドキュメンタリーで、「奈緒ちゃん」(1995)、「ぴぐれっと」(2002)、「ありがとう 『奈緒ちゃん』自立への25年」(06)に続くシリーズ第4弾。83年、奈緒ちゃん8歳の正月に奈緒ちゃんの伯父でもあるドキュメンタリー作家の伊勢真一はカメラを回し始めた。「この子は長く生きられない」と医者から宣告された奈緒ちゃんの「元気な姿を撮る」という課題で撮り続けた結果、奈緒ちゃんはどんどん元気になり、そして奈緒ちゃんを育てながら彼女のお母さんも元気になっていった。奈緒ちゃんと家族に寄り添い続けた35年間が描かれる。
2017年製作/110分/日本
配給:いせフィルム
劇場公開日:2017年11月4日