「虐待」批判で改善の上げ馬神事、終了 「馬に寄り添う祭りに」(2024年5月5日『毎日新聞』)

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土壁がなくなった坂を駆け上がる祭馬と騎手=桑名市の多度大社で2024年5月5日午後2時12分、松本宣良撮影
 
 「動物虐待」との批判を受けて土壁を撤去し、坂も緩やかにするなど改善された「上げ馬神事」は5日、三重県桑名市の多度大社で行われ、人や馬にもけがなく無事に終わった。6頭が駆け上がった4日に続き、本祭にあたる5日は花笠(はながさ)をかぶるなど前日とは違った姿の騎手たちが乗った3頭の馬が無難に坂を上り、観客からは歓声や拍手が起こった。
 多度大社と氏子でつくる御厨(みくりや)総代会の伊藤善千代会長(75)は2日間の祭事を振り返り、「ほぼ満足している。こういう感じで行えれば今後も続けていけるのでは」と受け止めた。一方で、「走る時に鞭(むち)を使ってしまうケースも見受けられ、その点は改善しないといけない。(鞭を持たない方向で徹底した方がいい」と述べた。
 
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土壁が撤去され、緩やかになった坂を駆け上がる馬と騎手=桑名市の多度大社で2024年5月5日午後2時2分、渋谷雅也撮影
 
 騎手らを指導した北勢ライディングファームの中村勇代表(60)も「気合が入り、鞭を打ってスピードを出し過ぎていた部分もあった」と指摘し、坂を駆け上がった後の興奮した馬の対処法についても「歩かせるなど落ち着かせることが必要」と話した。2日間の騎乗ぶりを振り返り、「坂は問題ない。けがなくスムーズにできた。みんなに認められる馬に寄り添った祭りにしたい」と話した。
 4日に会場で上げ馬神事に抗議をしていた団体なども5日には見られず、大きな混乱はなかった。【渋谷雅也、松本宣良】
 
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馬が跳び越える土壁の高さは2メートル