小池百合子知事、都内首長選の〝連勝〟ストップ 目黒で支援候補敗北 今後の戦略に影響か(2024年4月22日『産経新聞』)

キャプチャ
衆院東京15区補選で応援演説する小池百合子都知事=21日午後、東京都江東区
 
 東京都の小池百合子知事の〝連勝〟が止まった。21日に投開票が行われた目黒区長選で自身が推した元都議が現職に競り負け、「選挙に強い」とされてきた小池氏の勢いに陰りが出た。28日投開票の衆院東京15区補選や7月の都知事選、来たるべき解散総選挙での小池氏の戦略に影響を与える可能性がある。
手応えはあった
 目黒区長選にはいずれも無所属で、新人で元都議の伊藤悠氏(47)=国民民主、都民ファーストの会推薦、現職で6選を目指した青木英二氏(69)、新人で元区議の河野陽子氏(61)=自民推薦、新人で会社員の滝下隆行氏(41)、新人で元都議の西崎翔氏(40)=立憲民主推薦=の5氏が立候補した。
 小池氏は目黒区長選の期間中、支援する伊藤氏とともに再三街頭に。「目黒には3つの名物がある。目黒のサクラ、目黒のサンマ、伊藤悠だ」と持ち上げたが、現職に及ばなかった。伊藤氏の陣営からは「手応えはあった。しかし、手応えには裏切られることもある」と、難しい選挙戦をうかがわせる声が出た。
八王子に入った意味
都内首長選で、小池氏は敵なし状態だった。
都民ファ都議を千代田区長(平成29年2月)、元都幹部を豊島区長(昨年4月)と〝小池色〟の強い首長を立て続けに送り出した。さらに昨年12月の江東区長選、今年1月の八王子市長選でも元都幹部の当選に貢献した。
特に江東区長選、八王子市長選では、自民・公明とともに候補者を支援。〝政治とカネ〟を巡り批判にさらされる国政与党に「貸しを作った形」(自民都連幹部)とされた。
一方で別の評価もある。江東区長選では、途中まで小池氏支援候補の票の動きは鈍く「選挙終盤に自公の動きが活発になり、票を伸ばした」(公明関係者)との見方がある。
また、八王子市長選は、小池氏と縁のある候補が複数出馬し「特定候補を支援する意味のない選挙」(公明都議)と見る向きがあった。それでも選挙終盤で自公系候補の応援に入ったことに、ある自民都議は「(自公系候補が)優位との情勢をつかんだのではないか」といぶかる。
自公との距離
一方の目黒区長選。小池氏支援候補とは別に自民系候補が出馬し、公明の動きは最後まで見えなかった。選挙に強いとされてきた小池氏とて、自公票がなければ、構図次第で勢いをそがれることを意味する。
 
キャプチャ2
衆院東京15区補選で応援演説する小池百合子都知事=21日午後、東京都江東区
 
衆院東京15区補選で、小池氏が支援する無所属新人の乙武洋匡氏(48)=国民民主推薦=に自公は距離を置く。敗北した目黒区長選と置かれた状況が似る中、乙武氏は得票を伸ばすことができるのか。
都知事選で3選出馬を目指すとみられる小池氏が目黒区長選、補選で生じた自公との微妙な距離感を今後どう修正するのかに注目が集まるとともに、都民ファが設立した政治団体「ファーストの会」の国政進出戦略練り直しも迫られる。(大泉晋之助)
 

 

目黒区長選 青木英二さんが6選「区のため最後の大仕事」 多選批判をかわす(2024年4月22日『東京新聞』)

 東京都目黒区長選は21日、投開票され、無所属で現職の青木英二氏(69)がいずれも無所属の新人4人を破り、6選を果たした。「安心安全で安定した区政」などと訴え、多選批判をかわした。
 
当選を確実にし支援者らと万歳三唱する青木英二さん㊥

当選を確実にし支援者らと万歳三唱する青木英二さん㊥

 

 当日有権者数は22万7055人。投票率は36.21%で、前回の33.33%を2.88ポイント上回った。
 当選を決めた青木氏は21日深夜、事務所に集まった支援者を前に「今回の選挙は選挙カーを使わず、足で歩いた。目黒のための最後の大仕事。スピーディーに区政を進めたい」と決意を語った。
 勝因について「新型コロナワクチン接種体制の整備といった区政4年間の評価をいただけたのではないか」と述べた上で、「民主主義で大事なのは選挙。(公約で掲げたように)3年で辞職すれば、区長選も(区議選と)同日開催となり、投票率も上がる。区政そのものを改革し、身を切る改革を進める」と語った。
 
目黒区長選で6選を果たした青木英二さん

目黒区長選で6選を果たした青木英二さん

 

 選挙戦では5期20年に及ぶ現職区政への評価が争点となり、過去最多の5人が出馬。元都議の伊藤悠氏(47)=国民民主、都民ファーストの会推薦=や、元区議の河野陽子氏(61)=自民推薦=、元都議の西崎翔(つばさ)氏(40)=立憲民主推薦、共産、社民支持=らは、多選批判を繰り広げたが及ばなかった。
 青木氏は1983年から区議を2期務めた後、民主党(当時)都議を経て、2004年の区長選で初当選した。(中村真暁)