退職代行サービス(2024年4月18日『中国新聞』-「天風録」)

 服装は自由、金髪に染めていてもOK…。この春、新しい様式の入社式が東京や地方でも見られたという。スーツが当たり前と思っていたが、様変わりしたものだ。「多様性を尊重した」と会社側は意図を説明する

▲実際、ノーネクタイやワンピース姿が見られた。どの業界も人手不足で苦しい。会社に定着してもらおうと働きやすい雰囲気づくりに腐心しているようだ。時代を読み、多くの会社が変わろうとしている。ところが…

▲「入社1日で辞めた」「きのう退職届を出した」。SNSに今、もう退職したという新社会人の投稿が目立つ。言い出しにくい辞める意思を、本人に代わって伝える「退職代行」サービスも今年は依頼が大幅に増えているという。求人が多いせいだろうか

▲「石の上にも三年」。そう唱え、耐え忍んだ身には信じ難いが、今の世代の価値観らしい。退職の理由には、事前に聞いた業務や勤務の条件と違ったことなどが挙がっていた。パワハラまがいの暴言を浴びたとの声も

▲転職が珍しくない時代となった。自分らしく、生き生きと働ける環境かどうかを、若い世代はみているのだろう。選ばれる職場にしなければ生き残れないかもしれない。