東京15区エリアこそ日本の縮図 江東区の課題を見つめ直せ(2024年4月17日『日刊スポーツ』-「政界地獄耳」)


★東京で江東区といえば、隅田川と荒川にはさまれた下町のイメージが強い。亀戸天神富岡八幡宮深川不動を軸にした下町風情は関東大震災東京大空襲などを経ても立ち直り、にぎわいを見せた。ところがこれを衆院の東京15区という選挙制度に基づく区割りにあてはめると、都内随一の可能性を秘めたエリアとなる。1990年代以降は沿岸部の埋め立て地の開発が進み、湾岸エリアの多くは江東区だ。昔は夢の島はごみの埋め立て地として扱われたが、今では都内と思えぬ広大な臨海森林公園として人気スポットだ。

★青海・有明地区は東京臨海副都心(お台場)として開発され発展が著しく、港区台場地区に隣接する有明地区の有明コロシアム有明アリーナ、有明ガーデンシアターは若者のスポットとしても名高い。築地から移転した豊洲も活況を呈しておりホテルも多いだけでなくタワーマンションが林立し、人口も現在53万人に増えている。同選挙区は長年、元外相・柿澤弘治が地盤を守り、息子の未途が引き継いだが選挙違反で議員辞職し補選と相成った。

★東京の都市部に顕著だが、元々の江東区民と新たに流入してきた住民との生活、文化、価値観、世代など大きくエリアによって異なる社会が、ひとつの区を形成することになる。年配のコミュニティーがお祭りで街を盛り上げれば、子供の声が響く高層マンションがある。それをひとつのまとまりにする大切さや難しさは行政や政治に関わる人たちのテーマだ。16日告示された今回の補選には自民党を除く政党をはじめ、無所属候補まで元職と新人9人が立候補した。多くの第一声はいずれも現在の政治体制についての批判が多い。だが東京の問題点はないのか。それは都議や区議が議論すればいいのか。高齢化や少子化は国の大きな課題だが、江東区の抱える現実でもある。このエリアの住民こそが日本の縮図だ。乱立した候補者には15区の課題も見つめ直してもらいたい。(K)