<海外便り>「私もこの家を予約した…」民泊の過熱を実感 アメリカ・サウスカロライナ(2024年4月16日『東京新聞』)

 
 米大統領選の取材で、南部サウスカロライナ州に米国人スタッフと出張した時のこと。物価高でホテル代が高騰し、宿は格安の民泊を押さえた。米国では一軒家やマンションのオーナーが旅行者に部屋を貸し出す民泊が普及し、仲介サイトも多い。
快適な一方、ダブルブッキングのトラブルに遭遇した民泊の物件

快適な一方、ダブルブッキングのトラブルに遭遇した民泊の物件

 リビングと個室、キッチンもある。「仕事がしやすく、料理もできる。良い選択だった」。スタッフとうなずき合い、食材の買い出しに出ようとした時、事件は起きた。中年の夫妻が戸惑った表情で「私たちもこの家を予約した」と声をかけてきた。ダブルブッキングだった。業者に確認すると、夫妻が使ったサイトの不手際だと判明した。
 宿は死守できたが、何だか気まずい。すると、相手の奥さんが「あら、偶然!」と、夫とスタッフの足元を指さした。2人は全く同じ種類の靴を履いていた。「予約先だけじゃなく、靴までおそろいだ」。笑いに包まれ、場の空気は一瞬で和んだ。
 夫妻はホテルを取り直したようだが、米国では民泊業者の競争が過熱気味。予約トラブルのほか、民泊用物件の買い占めが、住宅不足と家賃の高騰を招き、規制を強化する動きが出ている。(鈴木龍司、写真も)