宝塚大劇場の隣に新ビル計画、阪急電鉄「中世ヨーロッパのような街並み維持したい」(2024年4月14日)

 宝塚歌劇団の本拠地・宝塚大劇場兵庫県宝塚市)の西隣に、歌劇団の事務所が入るビルの建設計画が進んでいる。武庫川に面して並ぶ周辺の建物は、観光都市・宝塚市の象徴。市景観審議会の部会で「大劇場との連続性を考慮してほしい」との注文がつき、事業者の阪急電鉄は「景観に配慮したい」とする。今後の展開に注目が集まる。(高部真一)

 計画などによると、新しいビルは地上6階、地下1階。1993年に新築開場した大劇場の建物に事務所や稽古場、スタジオが入っていたが、手狭になったことから建設を決めた。

 ビルは主に事務所として使い、1階には店舗が入る。大劇場と小劇場「宝塚バウホール」の間にある敷地が予定地で、現在はパラソルやテーブルが置かれた屋外テラスとして、観劇の幕あいに観客らがくつろいだり、飲食したりする場になっている。

 ビルは高さ約33メートル、幅約49メートルで、武庫川からの景観上、壁のような存在になる可能性もある。阪急電鉄側は、大劇場のほか宝塚音楽学校、宝塚ホテルなどに合わせたオレンジ色の瓦を採用し、中世ヨーロッパのような街並みを維持したいとする。建物の周りをテラスとして開放することも検討している。

 周辺には遊歩道「花のみち」や市立手塚治虫記念館、宝塚温泉など観光スポットが集まり、中心市街地としての景観上も重要だ。

 有識者や市民らでつくる市景観審議会デザイン協議部会で、昨年12月と今年1月に議論された。阪急電鉄の姿勢に理解を示したうえで、「屋根の太陽光パネル武庫川の対岸などから見えないようにしてほしい」「外壁を落ち着きのあるコテを使った仕上げにしたらどうか」などの意見が出た。

 9月としていた着工時期は、調整中という。阪急電鉄広報部は「周辺の景観は宝塚歌劇発祥の地として非常に大切と考えている。街並みと調和する外観デザインとなるように検討を進めていく」としている。