宝塚歌劇団員の急死、阪急阪神HDと遺族側が交渉大筋合意 一時パワハラやいじめ否定(2024年3月28日『産経新聞』)

 
宝塚歌劇団の本拠、宝塚大劇場

宝塚歌劇団兵庫県宝塚市)の宙組劇団員の女性(25)=当時=が昨年9月に急死した問題で、遺族側と歌劇団側の交渉が大筋で合意に達し、28日午後、それぞれ会見を行った。歌劇団を運営する阪急電鉄の親会社、阪急阪神ホールディングス(HD)の角和夫会長ら幹部が直接面会し、遺族に謝罪したという。

この問題を巡っては、遺族側が女性に対するいじめやパワハラが原因だったとして、歌劇団謝罪と賠償を求めていた。歌劇団側は昨年11月の会見で、外部の弁護士らによる調査報告書に基づき「いじめやパワハラは確認できなかった」と主張、遺族側が反発していた。

歌劇団は当初、女性の過重労働に対する安全配慮義務を果たさなかったことは認め、昨年12月1日付で当時の木場健之理事長と、阪急阪神HDの角会長が俳優の養成機関「宝塚音楽学校」の理事長を、それぞれ辞任。西宮労働基準監督署も昨年11月以降、労働基準法に基づく立ち入り調査を行い、歌劇団は今年1月以降、過密な公演日程の見直しを行っていた。

遺族側は昨年12月、歌劇団に意見書を提出した上で、女性が上級生からヘアアイロンを故意に押しつけられできたやけど痕とする額の写真などとともに、主なパワハラ行為が15に上ると主張。「調査報告書が認定している事実を見ても、これはパワハラだということが多くある。証拠採用の方法が極めて独善的で非合理的」「結論から見ればパワハラはなし、過重労働はありという結論ありきの報告書になってしまったのではないか」と批判。改めてパワハラ行為を認め、謝罪と補償を行うよう求めていた。

今年1月に歌劇団側がパワハラを認める姿勢を示したが、合意に至らず、両者の交渉が続き、今月15日に5回目の交渉が行われいていた。女性が所属していた宙組は昨年10月から、公演を中止している。

代理人弁護士によると、女性は令和3年8月に上級生からヘアアイロンを額に当てられ、やけどを負ったほか、亡くなる直前1カ月の業務時間が計400時間を超え、休日もなかった、としている。

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