「養子縁組を決めたという連絡が」
昭和天皇の第四皇女、つまり上皇陛下の姉君に当たる池田厚子さん(93)が養子を迎えていたことが分かった。天皇陛下にとっては新たな「いとこ」である。“息子”となったのは「ジューC」で知られる菓子メーカー「カバヤ」の代表。異例の組み合わせの理由とは……。
【写真を見る】“爵位が欲しい”と語っていたというカバヤの野津基弘代表
***
「この3月、岡山を中心とした国会議員や財界人、また、旧華族の下に、一斉に手紙が届けられました」 とは、さる岡山財界の関係者だ。
「差出人は、カバヤという菓子メーカーの野津基弘代表(53)です。いわく、池田動物園の園長、池田厚子さんと夫婦で養子縁組しました。末永くよろしくお願いしますという趣旨。しかし、池田さんといえばやんごとなき御家柄です。しかも、90歳を超え、この5年ほどは公の場に姿を見せてはいない。それが突然養子縁組を決めたというのですから……」 岡山のエスタブリッシュメントの間では、驚きをもって受け止められている、というのである。
歴史あるお家柄と新興企業トップの“ご縁”
池田厚子さんは、昭和天皇の第四皇女。上皇陛下のすぐ上の姉で、今上陛下からは伯母に当たる。21歳で岡山の実業家・池田隆政氏に嫁ぎ、現在は亡夫が興した「池田動物園」の園長を務めている。夫婦の間に子はいない。
隆政氏は備前岡山藩主・池田家の16代当主であり、織田信長重臣の池田恒興や、その子で姫路城を現在の形に修復した輝政の子孫という由緒正しい家柄だ。 一方の野津氏は、岡山に本社を構える「カバヤ食品」の代表取締役で3代目に当たる。カバヤは1946年に創業された菓子メーカーで、「カバドンドン」のCMで知られた「ジューC」や、最近では「塩分チャージタブレッツ」などヒット商品は数々あり、売上高は200億円超。野津氏が社長を務める持株会社「日本カバヤ・オハヨーホールディングス」はグループに学校法人やゴルフ場運営会社などを持つ、岡山の有力企業のひとつである。夫人もカバヤで取締役を務め、子どもはいない。
いわば、歴史あるお家柄と戦後の新興企業のトップという、異例の“ご縁”である。
「寝耳に水の話で驚いた」
この件について、カバヤは「公表しておりません」とのスタンスだが、地元名士の間ではすでに広く知られているようで、 「確かにひと月ほど前だったかな、野津さんから手紙が来ましたよ」 と語るのは池田動物園の取締役も務める、岡山ガスの岡崎彬会長。
「おっしゃるとおり、夫婦で池田さんの養子になりましたという内容でした。今月になって私の会社にご本人があいさつに来まして。改めての報告がありましたよ」 もう一人、RSK山陽放送相談役で、池田動物園の取締役も務める原憲一氏に聞いても、 「先月末かな、カバヤの方が2人来られて、基弘さんが養子になりました、と報告がありました。寝耳に水の話でしたね。その後、ハガキでも報告がありまして。差出人の名は『池田基弘』となっていて、その下に何とかの守(かみ)だったかな、由緒ありそうな名前が付いていました」
「池田家と動物園に関わる“事情”が」
この異色の組み合わせの背景には一体、何があったのか。 「池田家と動物園に関わる“事情”があるのだと思います」 とは、前出の岡山財界関係者だ。厚子さんの夫、故・隆政氏は無類の動物好きだった。岡山で牧場を開き、牛や豚、鶏を育て、戦後、厚子さんと結婚した翌年には動物園を開いた。厚子さんも夫を支え、時に売店を手伝ったり、写真撮影に応じたことも。岡山の名所のひとつとなったが、
しかし、動物園の民営は厳しく、隆政氏は私財を投じて赤字の補填をしてきたという。2012年に隆政氏が亡くなった後、厚子さんが園長に就いてからも状況は変わらず。累積赤字は2億4500万円ほどにも及び、地元では由緒正しい動物園を潰してはいけないと、「池田動物園をおうえんする会」ができたほどだった。
その「おうえんする会」の清水努会長が言う。 「厚子さんが嫁がれたこともあり、動物園は設立当初から代々、地元財界が応援してきたのですが、その中の熱心な一人がカバヤの先代でした。株主にも入り、隆政さんとは公私ともに親しい間柄でした」
先代の死後、その縁は基弘氏にも引き継がれていった。5年前、動物園が入場ゲートを新設した際には、カバヤがそれを寄贈。その際、園長と並んでテープカットをしたのが基弘氏だった。現在は前述のカバヤの持株会社が動物園の筆頭株主に。
「2年前には、動物園の専務が亡くなったんです。その後、新しく専務に就いたのがカバヤのグループ会社の社長さん。するとすぐに食堂をリニューアルしてくれましてね」
人的にも、金銭面でもまるでグループ企業のひとつであるかのように、全面的にバックアップしているわけなのだ。4月11日発売の「週刊新潮」では、“爵位が欲しい”と語っていたという基弘氏のエスタブリッシュメント志向などについて詳報する。
「週刊新潮」2024年4月18日号 掲載
新潮社
【関連記事】