ガザ戦闘半年 国際社会、停戦へ圧力を(2024年4月9日『秋田魁新報』-「社説」)

 パレスチナ自治区ガザでのイスラエル軍イスラム組織ハマスの戦闘は、昨年10月に始まってから半年を経過した。戦闘終結の兆しは依然として見えず、犠牲者が増え続けている。

 イスラエルはガザ北部を掌握した後に南部にも地上侵攻。その間、病院なども攻撃し、ガザ側の死者は3万人超に上った。7割が女性や子どもとされる。国際社会から人道的に許されないとの批判が高まるのは当然だ。だがイスラエルは攻撃の手を緩めるどころか、次には最南部ラファへの地上侵攻を実行する構えを見せており、さらなる被害拡大が懸念される状況だ。

 ガザの人口は約220万人。ラファには多数の避難民が身を寄せ、約150万人が暮らしている。犠牲者がこれ以上増えていくのを見過ごしてはならず、国際社会の力で止めなければならない。

 イスラエルがガザ境界を封鎖して支援物資の搬入を厳しく制限しているのも厳しく糾弾されるべきだ。複数の国連機関や人道支援団体などの連合体「IPC」が先月発表した報告書によると、既にガザ人口の約30%が食料不足に苦しんでいる。ラファへの地上侵攻が実行されれば、約110万人が危機的な状態に陥る恐れがあるとしている。憂慮すべき事態だ。

 国連安全保障理事会イスラエルハマスに即時停戦を求める決議案を採択したのは先月下旬。15理事国のうち米国を除く14カ国が賛成した。これまで停戦を盛り込んだ決議案については拒否権を再三行使してきた米国が棄権したのは、大きな前進だった。

 だがイスラエル軍はその後もガザへの攻撃を続け、被害を拡大させている。今月初めには食料支援に取り組む米国の団体のメンバー7人がイスラエルの攻撃を受け死亡。団体は活動中断を余儀なくされた。イスラエルは意図的な攻撃を否定するが、責任は免れない。経緯を調べ、その結果を明らかにしなければならない。

 戦闘のきっかけとなったのは昨年10月のハマスイスラエルへの奇襲だ。民間人約1200人を殺害し、人質として200人以上をガザに連れ去った。蛮行であり、到底許されることではない。

 だが、それに対するイスラエルの報復はあまりに過剰だ。イスラエルハマスを壊滅させるまで攻撃をやめないとしているが、目的達成のため、民間人をどれだけ犠牲にするつもりなのか。これでは憎しみを増幅させるだけだ。

 ハマスは現在、100人以上の人質を拘束するとされ、恒久停戦やイスラエル軍のガザ撤収などを要求している。イスラエルは応じていない。戦闘ありきではなく、交渉によって妥協点を見いだし、停戦への道を開くべきだ。国際社会はそのために双方に対し、粘り強く圧力をかけ続ける必要がある。