入管の監理措置 一時しのぎの対応慎め(2024年4月9日『東京新聞』-「社説」)

 
 改正入管難民法が6月10日に施行され、監理措置制度が創設される。収容を一時的に解かれた外国人を入管当局に代わって民間の監理人が監督するもので、現行の仮放免に事実上代わる制度だ。
 ただ、監理人のなり手不足や悪質業者の介入が懸念され、機能するか否か疑問視されている。性急な導入は慎むべきではないか。
 難民認定を申請していたり、日本に家族がいるなどの理由で退去命令を拒む外国人は原則、入管施設に収容されるが、病気などの理由で一時的に収容が解かれる場合がある。これが仮放免である。
 仮放免中の人には就労禁止や無届けの都道府県外移動禁止などの条件が付され、入管当局は条件を順守しているか監督している。
 こうした条件は監理措置に移行しても変わらず、措置を受けるには入管庁が認める監理人が必要となる。監理人は入管に代わり、外国人の行動把握や入管への報告が義務付けられ、怠れば10万円以下の過料が科せられる。
 仮放免では身元保証人を弁護士が務めることもあるが、新制度では監理人の報告が再収容など監理対象者の不利益を招きかねず、引き受けにくい。監理人自身に行政罰が科せられる恐れもあり、監理人探しは容易でないとみられる。
 家族や支援者が担う事例が想定されるが、信頼関係を損なうことを恐れ、現在保証人を務める人でも躊躇(ちゅうちょ)する傾向があるという。
 さらに空港などで難民申請した場合、申請者は日本社会と接することなく収容されるため、監理人の候補者すら見つけにくい。
 懸念されるのは外国人の窮状に付け込み、営利目的の業者が監理人に名乗り出る事例だ。法案審議でも「貧困ビジネス」同様の構造が生じかねないと指摘された。
 今回の法改正は、収容者の死亡事件が相次いだことを受け、退去命令を拒む外国人の長期収容を解消することが目的だった。しかし、監理措置制度をこのまま導入して、逆に長期収容を促す結果となったら本末転倒だ。
 厳しい状況下にある外国人を助けたいという支援者らの良心を逆手に取り、監視を押し付ける仕組みは人道的にも問題がある。
 長期収容は、司法が介在しない収容決定や無期限収容の原則こそが要因だ。政府は本質的な問題を棚上げしたまま、一時しのぎの対応に終始すべきではない。