景気のいい報告が続く春闘 その中で取り残される非正規公務員(2024年4月6日『日刊スポーツ』』-「政界地獄耳」)

★4日、連合は24年の春闘の中間集計を発表。賃上げ率は5・24%。月例賃金改善を要求した4842組合中2362組合が妥結済みで、うち1572組合(66・6%)が賃金改善分を獲得。全体も中小組合も、額・率とも賃上げ分の集計を開始した15年の闘争以降で最も高いと景気のいい報告が続く。もっとも連合も「闘争の成果」のように喧伝(けんでん)するが、大手組合は要求額以上の回答がテーブルに着いたと同時に会社から提示され、交渉などほとんどなかったとも聞く。

★その中でまったく取り残されているのが非正規公務員だ。彼らは主に地方自治体の組織で働く臨時職員や非常勤職員。公立学校の教師、図書館司書、保育士、自治体の窓口業務担当者として現場を支えている。総務省の調べで23年4月時点の非正規の地方公務員(会計年度任用職員)は約74万人。20年度からは非正規雇用制度を一本化したものの、厳しい環境に変わりはない。22年に労働組合自治労が全国の地方自治体で働く非正規公務員1万3000人規模に初めてアンケートしたところ、6割が年収200万円未満で働いていると回答した。春闘があろうとも彼らは最低賃金保障やスト権などもなく、年度末が近づくと雇い止めなどもあるため現場の顔色を見て仕事をする状況だ。公共施設の職員だから公務員と思ったら、施設運営は民間委託で賄われ、自治体は節約が可能になるものの、民間職員として働く現場はそのツケが回ってくる場所となる。つまり実態は公共サービスの劣化につながる。

★無所属の東京都大田区議・奈須りえは指摘する。「大田区は税収の余剰金が1300億円あるが、教員や司書の教科書代は国や都の補助ではなく自治体独自財源だそうで、大田区の小中学校の非常勤の先生や司書は区から教科書が支給されない。予備の費用で買う学校もあるが、彼らは自費で買ったりコピーしている。区は学校長と組合(日教組)の団体など現場から区に要望があれば買うといっている」。そんなところにしゃくし定規な、お役所仕事を持ち込まなくてもいい。最初から支給せよ。(K)