新入学おめでとう(2024年4月6日『しんぶん赤旗』-「主張」)

学びを深め未来ひらく主役に
 大学新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。これから始まる学生生活への期待に、胸をはずませていることでしょう。

 皆さんは中学・高校時代をコロナ禍の中で過ごし、行事が中止になるなど制約も受けてきたと思います。大学では、学びたいこと、やりたいことに思う存分チャレンジし、自分の力を伸ばしていかれることを心から願っています。

 「格差と貧困をなくしたい」「戦争はどうしたら止められるのか」「日本はなぜジェンダー平等がこんなに遅れているのか」―民青同盟が全国で取り組んでいる新入生アンケートには、現在と未来への真剣な模索が寄せられています。

■「なぜ?」の追求を
 高すぎる学費、安すぎる給料、国民の暮らしや被災地復興には冷たいのにミサイル購入などの軍備増強には湯水のように税金を使う―日々の暮らしやニュースの中で、「おかしいな」と感じることが、皆さんもたくさんあるのではないでしょうか。

 こうしたゆがみの大もとには、「財界中心」「アメリカいいなり」を特質とする自民党政治があります。

 日本の学費が世界でも異常に高くなったのも、財界の旗振りで起こってきたものです。1971年当時、国立大学の学費は年間1万2千円でしたが、財界が「教育は投資だ」と主張し、大学教育を受けることによって「利益」を得る学生が学費を払うのは当たり前だと、「受益者負担主義」の名のもとに学費値上げをあおりました。現在、国立大の学費は当時の50倍近くにはね上がっています。

 しかし、大学で学生が学ぶことは学生個人の利益にとどまるものではありません。大学で得た知識や技術を卒業後、社会で生かすのですから、「利益」を得るのは社会全体です。そうした考えから、ヨーロッパの多くの国では学費は無償か低額です。

 世の中で当たり前だと思われていることでも、「おかしい」と感じることについては、「なぜか」「どうしたら変えられるのか」と問うことが大切です。根っこにある問題を探り当てれば、解決の展望が開けてきます。皆さんには、大学でのあらゆるテーマの学びとも結んで、「なぜ?」を追求してほしいと思います。

■生き方を見つめて
 民青同盟の新入生との対話では、「マルクスの『資本論』を学んでみたい」など社会主義共産主義への関心も、多く示されています。皆さんの世代が、格差と貧困、気候危機など「資本主義の限界」を、肌身で感じているためではないでしょうか。

 「社会主義は自由がない」というイメージとは正反対に、社会主義共産主義は「人間の自由」こそが最大の特質であることを、マルクスは『資本論』で豊かに解き明かしました。マルクスの理論にも学生時代に触れてほしいと思います。

 自分がどう生きていくか、人類が直面する諸課題をどうしたら解決できるか、大学で広い視野で学び、力をつけていってください。皆さんこそが、希望ある未来をひらく主役です。若者の未来をはばむ高学費や低賃金、戦争する国づくりなどには、ともに声をあげ、変えていきましょう。