◆「木村弥生前区長側の人間には乗れない」
3日、江東区役所で開かれた党江東総支部の会合。元都議の山崎一輝総支部長(51)は区議ら対し、乙武氏を推薦するという党本部の方向性を伝えたという。会合後、山崎氏は取材に「推薦する方向性を伝えただけだ」と話したが、複数の区議によると、異議が続出したという。
取材に応じた区議は「支援者にはどう説明するのか」とし、反発の理由に昨年4月の区長選を挙げた。乙武氏は、当時自民推薦候補の対抗馬だった前区長木村弥生被告(58)=公選法違反罪(買収など)で公判中=の応援演説に立つなど積極的に支援した「敵側」の立場だった。「木村氏側の人間には乗れない」とぼやく。
「党本部が地元の話を聞いてくれないのはいつものこと」という別の区議は、2021年の衆院選での対立を振り返る。地元と都連が公認を求めた候補者が、党員でもなかった柿沢未途元衆院議員(当選後に追加公認、公選法違反罪で有罪確定)と並び推薦となり、「(党本部に)メンツをつぶされた」(都連関係者)。さらに別の区議は「党本部は地元を軽視している」と冷ややかに語る。
◆女性問題で「痛い目」にあった記憶
「乙武氏を支援することは、普通の自民党員だったらありえない」。自民都連幹部も苦い表情で語る。自民が2016年の参院選で乙武氏擁立を検討しながら、週刊誌に女性問題を報じられ断念に追い込まれた経緯があるからだ。
小池知事は3月末の会見で、乙武氏の女性問題について「二度と過ちを犯さないということで、誠実に活動していると確認した」と沈静化に先手を打った。しかし、別の都連関係者は「そう見ていない市民もたくさんいる」と漏らす。支援を要請されている公明党の関係者も同様の懸念を示す。
とはいえ裏金問題のあおりで次期衆院選でも苦戦が予想される中、一定の人気を持つ小池知事を「なるべく自民党へのアンチにしないように」という思惑から、乙武氏推薦以外に選択肢がないのが実態だ。都連自体も会長の萩生田光一衆院議員が裏金問題で処分の対象になっている。
昨年末の江東区長選でも自民は、小池知事が擁立を主導した候補を推薦。推薦候補を出し苦戦した今年1月の八王子市長選でも小池知事の応援を仰いだ。都連幹部はこぼす。「一にも二にも小池さん対策。小池さんが『乙武』と言わなければ全くない話だ」
◇
◆選挙には8人が出馬の意向
東京15区補選では、3日に立憲民主党が新人の酒井菜摘氏(37)の擁立を決定。共産党は新人小堤東氏(34)の擁立を発表しているが候補者調整が行われる可能性もある。同日には参院議員の須藤元気氏(46)も無所属で出馬する意向を表明した。