維新、次期衆院選で保守票獲得に照準…自民と政策協議進め政権担当能力アピール(2024年4月4日『読売新聞』

 日本維新の会が、自民党との政策協議を積極的に進めることで、次期衆院選での保守票の獲得に照準を定めている。政府・与党の政策決定プロセスに関わることで政権担当能力をアピールしつつ、安全保障や農業などの政策で実績を積み重ね、自民支持層に食い込みたい思惑がある。

 

 自民と維新は3月15日に、「セキュリティー・クリアランス(適性評価)制度」を創設する重要経済安保情報保護・活用法案に関する政策協議を始め、法案修正も視野に入れて話し合いを進めている。維新の藤田幹事長は4月3日の記者会見で、「政府の足らざるところをプッシュするなど、積極果敢にやっていきたい」と意欲を示した。

 維新は次期衆院選の目標に、野党第1党の奪取に加え、与党の過半数割れを掲げている。維新執行部は「与党を過半数割れに追い込むには保守票の取り込みがカギ」とみており、3月29日には農政の基本方針を示す「食料・農業・農村基本法」改正案の修正協議も自民に打診した。地方の自民支持層に関心の高いテーマを狙い撃ちした形だ。

 防衛政策に関しても、3月26日に発足した藤田氏直轄の「安全保障改革調査会」でサイバーや宇宙分野を含めた政策提言を目指しており、藤田氏は「政権を担える政党として現実を直視した安保政策をリードする」と強調する。

 自民にとっては、派閥の政治資金規正法違反事件の影響で苦しい国会運営が続く中、維新との政策協議には、法案審議で維新の協力を得て与野党の幅広い合意形成を演出できるメリットがある。ただ、自民内には保守票を奪われることへの警戒感から、「維新に安易に近づくべきではない」(党幹部)との声も根強く、政策協議がどこまで進むかは不透明だ。

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