◆「こんなにも温かい人たちがいて、救われた」
大学側は29日午後5時までに払わねば「除籍する」としていたが、読者の善意により期限ぎりぎりで除籍される事態が回避された。
これからも学べることが決まった女性は「寄付の知らせを聞いて、涙が止まらなかった」と言う。「除籍になったら一から出直すしかない、と完全に覚悟していた。こんなにも温かい人たちがいて、救われた。必ず社会に貢献し恩返しをする」と語った。
寄付をしたのはフィリピンで暮らした経験がある女性で、「4年生まで頑張ってきたのにかわいそうだ」と考えたという。
読者からは本紙に温かい声が続々届いた。栃木県の男性は「必要なら大学に持っていく」、中国に滞在する男性は「ネットでみて助けたいと思った」とした。
◆宇都宮大「適正だった。謝罪も考えていない」
この問題のきっかけは、宇都宮大が昨秋、後期の授業料について「両親の所得区分が変わったので免除額を縮小する」と通告してきたこと。さらに、大学は3年生時の授業料にまでさかのぼって差額を払うよう求めてきた。女性は分割払いを求めたが応じなかった。
この問題について、盛山正仁文部科学相もこの日の記者会見で「丁寧な説明を欠いた」としたが、宇都宮大は「学則にのっとったもので適正だった」(学生支援課)との立場を崩していない。女性への謝罪も「考えていない」という。
指宿弁護士は「大学側の説明は極めて不十分。このままならほかにも理不尽な要求で、運命が変わってしまう学生が出てくる懸念があり、さらに説明を求めていく」と語った。