◆海自トップ「トマホークで日米連携攻撃も可能」
岸田政権は2022年末に改定した国家安保戦略で敵基地攻撃能力の保有を決めるなど、16年3月に安倍政権で施行された安保法を受けた防衛政策の転換を次々と進める。「存立危機事態」になった際、集団的自衛権の行使で自衛隊が敵基地攻撃を行う可能性があり、日米が協調したトマホークの運用も想定される。
制服組トップの吉田圭秀統合幕僚長も28日の会見で「トマホークはもともと米軍の装備なので、さまざまな形で日米連携が行われていく」と指摘する。日本は米国からトマホーク(射程1600キロ以上)を最大400発購入することを決めており、25~27年度にかけて順次納入される。
在日米軍は25~29日、米海軍横須賀基地で海自の隊員らに対し、トマホークの実戦配備に向けた初めての教育訓練を実施。トマホークの運用に必要な座学研修や、米艦艇での実戦を想定した訓練を行った。今後も2カ月ごとに日米で訓練を行い、運用に習熟した隊員を増やしていくという。
◆岸田首相は「独立した指揮系統」を強調するけれど
米海軍横須賀基地
木原稔防衛相は29日の会見で米軍の支援を歓迎し、安保法施行に伴い「日米同盟はかつてないほど強固となり、抑止力、対処力は向上した」と主張した。
だが、米国がサイバーや衛星などを含め圧倒的な軍事力と情報収集力を誇る中、日米の軍事的な一体化が進めば進むほど、有事の際に日本が主体性を発揮しにくくなり、米国の意向に左右される側面は否定できない。トマホークの発射でも、日本が狙う相手国の軍事拠点の選定などで米軍の能力に頼らざるを得ない。
首相は「自衛隊と米軍は独立した指揮系統に従って行動する」と繰り返すが、共同作戦計画などで一体的な運用がさらに強まるのは確実だ。日本が独立した指揮系統を維持できるのか、米国の軍事行動に組み込まれる事態は想定されないのか、疑問は尽きない。
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