4月28日に行われた3つの衆議院補欠選挙。
このうち東京15区では、2代続けて衆議院議員が逮捕され、議席を持っていた自民党が候補者の擁立を見送った。
過去最多の9人が立候補した「乱戦」から抜け出し、勝利したのは、立憲民主党の酒井菜摘だった。
どんな選挙戦だったのか?取材した。
(首都圏局 都庁クラブ)
「乱戦」
「これは乱戦になる」「有権者が困惑するのではないか」(各陣営)
かみ合わなかった思惑
候補者の1人、「五体不満足」の著書などで知られる乙武洋匡。
東京都知事の小池百合子が擁立を主導し、選挙戦では、街頭演説や街宣車での呼びかけなど連日のように乙武の応援に入り、連携を前面にアピールして支持拡大を図った。
また乙武を推薦した国民民主党も代表の玉木雄一郎らがたびたび応援に入った。
東京都知事の小池百合子が擁立を主導し、選挙戦では、街頭演説や街宣車での呼びかけなど連日のように乙武の応援に入り、連携を前面にアピールして支持拡大を図った。
また乙武を推薦した国民民主党も代表の玉木雄一郎らがたびたび応援に入った。
「政治が国民1人1人をサポートしていくべきだが、今の政治はそうなっていない。そんな状況を変えていきたい。私自身が誰よりサポートを受けて、サポートされる重要性を分かっているからこそ、今度は政治で皆さんに恩返しをしていきたい」
自民党にとって、政治資金問題などで厳しい逆風が予想された今回の選挙。
連立政権を組む公明党からも「自民党の候補者が出ても勝てない」との見方が出る中、候補者選びは難航していた。
このため、なすすべなく敗北する形は避けたいと、候補者の公募の動きを見せる一方で、小池が推す候補者に乗ることを検討したという。
小池はなかなか意中の候補者を明かさなかった。
告示まで20日を切った3月29日。
連立政権を組む公明党からも「自民党の候補者が出ても勝てない」との見方が出る中、候補者選びは難航していた。
このため、なすすべなく敗北する形は避けたいと、候補者の公募の動きを見せる一方で、小池が推す候補者に乗ることを検討したという。
小池はなかなか意中の候補者を明かさなかった。
告示まで20日を切った3月29日。
小池は定例会見で、乙武を擁立する方針を明らかにし「日本のゲームチェンジを担っていくにはふさわしい人ではないか。こちらからお声がけもした」と持ち上げた。
乙武は、小池が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が去年夏から開いた党の政治塾の講師を務めたことなどで、小池との関係が近くなった。
国政進出を目指して設立された「ファーストの会」の副代表に3月末に就任していたのだ。
乙武は、小池が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が去年夏から開いた党の政治塾の講師を務めたことなどで、小池との関係が近くなった。
国政進出を目指して設立された「ファーストの会」の副代表に3月末に就任していたのだ。
こうした状況を受け、小池側も対応に追われた。
ある関係者はこう漏らし、焦りを隠さなかった。
ある関係者はこう漏らし、焦りを隠さなかった。
各候補の選挙戦は
酒井は、江東区の元区議会議員で、木村の辞職に伴う去年12月の江東区長選挙に立候補したものの、自民・公明両党と小池らが連携して支援した今の区長に敗れていた。
今回は立憲民主党が公認し、党都連は、衆議院の解散・総選挙や都知事選挙につながる重要な選挙として臨んだ。
酒井の立候補にあたっては、立憲民主党と共産党との間で候補者調整が行われ、共産党は「自公政権を終わらせるため共闘する」として、発表していた候補者の擁立を取り下げ、候補者を酒井に一本化した。
選挙戦では、立憲民主党代表の泉健太や共産党委員長の田村智子らが相次いで応援に入り、政治とカネの問題を強く訴えながら選挙戦を戦った。
今回は立憲民主党が公認し、党都連は、衆議院の解散・総選挙や都知事選挙につながる重要な選挙として臨んだ。
酒井の立候補にあたっては、立憲民主党と共産党との間で候補者調整が行われ、共産党は「自公政権を終わらせるため共闘する」として、発表していた候補者の擁立を取り下げ、候補者を酒井に一本化した。
選挙戦では、立憲民主党代表の泉健太や共産党委員長の田村智子らが相次いで応援に入り、政治とカネの問題を強く訴えながら選挙戦を戦った。
「しがらみのないクリーンな政治はあたりまえだが、やるのは簡単じゃない。それを実行してきたのが日本維新の会だ。地元そして国を思う気持ちは誰にも負けない。それは私がこの5年間行動で示してきた。皆さんから5年間頂いてきた声をどうか国政へと届けさせてほしい」
また、金澤には教育無償化を実現する会が推薦を出した。
ただ維新の会の関係者は、戦略の難しさを打ち明けた。
ただ維新の会の関係者は、戦略の難しさを打ち明けた。
「本当に政治を変えたいなら、そして私たちの大事な国、日本と美しい日本社会、私たちの家族を守りたいなら、ぜひ日本保守党と飯山陽を応援してください。私欲のためだけに政治をするような政治家から日本を取り戻して、かつて私たちのご先祖様たちが一生懸命日本を再建した、そういった日本を取り戻していく」
想定外の事態も
一方、各陣営にとって想定外の事態も起きた。
選挙戦で、政治団体「つばさの党」の新人、根本良輔が他の陣営の演説場所に押しかけ、演説にかぶせて大音量のスピーカーで質問や批判を繰り返すなどの行動をとったのだ。
警察が「つばさの党」の代表らに、他の陣営の選挙運動を妨害したとして公職選挙法違反の警告を出す事態となった。
根本は「ほかの陣営を追及することで、日本の問題を訴えていきたい」などと主張していて、その後も他の候補の演説場所に現れた。
各陣営からは「身の危険を感じる」とか「演説場所を知られると押しかけられるため事前の告知ができず、まともな選挙活動にならない」などと批判の声が挙がった。
その行動を目撃した区民からも「異様な状況で怖い」とか「候補者の政策が聞こえず行き過ぎた行為だ」などとする声も聞かれた。
警察が「つばさの党」の代表らに、他の陣営の選挙運動を妨害したとして公職選挙法違反の警告を出す事態となった。
根本は「ほかの陣営を追及することで、日本の問題を訴えていきたい」などと主張していて、その後も他の候補の演説場所に現れた。
各陣営からは「身の危険を感じる」とか「演説場所を知られると押しかけられるため事前の告知ができず、まともな選挙活動にならない」などと批判の声が挙がった。
その行動を目撃した区民からも「異様な状況で怖い」とか「候補者の政策が聞こえず行き過ぎた行為だ」などとする声も聞かれた。
「乱戦」を制したのは
酒井は情勢が明らかになったあとこう述べた。
及ばなかった乙武は。
「私の力不足で深く責任を感じています。結果がすべてなので現時点ではそれを受け止めるしかありません。支援をもらった皆さんの期待に応えられず本当に申し訳ないと思っています」
(文中敬称略)
首都圏局 都庁クラブ 記者
川村允俊
2018年入局 長野局を経て首都圏局。 カスタマーハラスメント対策や防災分野などを担当。趣味はテニス。
川村允俊
2018年入局 長野局を経て首都圏局。 カスタマーハラスメント対策や防災分野などを担当。趣味はテニス。