宇都宮大学の国際学部で学ぶ4年生のフィリピン人女性(22)が、大学から授業料を免除しすぎたとして、計約44万円を3週間以内に納付するよう求められた。大学は29日の期限までに支払わねば除籍処分にするとしており、女性は窮地に立たされている。両親は低所得で、一括払いは苦しい。分割を求めても、大学は拒否。専門家は「常識的に無理がある要求で、学ぶ権利の侵害にあたる」と指摘する。(池尾伸一)
宇都宮大学から女性に届いた44万6500円の納付を求めるメール
◆両親の仕送りなく、国の支援と奨学金が頼り
だが、大学は昨秋、後期の授業料について「両親の所得区分が変わったので免除額を縮小する」として半期8万9300円だったのを倍の17万8600円に上げると伝えてきた。
◆再判定で増額、期限設定し分割払いも拒否
女性が再判定を求めても、変わることはなかった。それどころか、大学は3月8日、「再判定で3年後期から免除しすぎだったのが判明した」として、過去にさかのぼった分も合め計44万6500円を29日までに納付するよう命じた上、「間に合わねば除籍」と通告した。
女性は、過去にさかのぼってまで再判定されるとは想定しておらず、膨らんだ負担に驚き「3週間で用意するのは困難」と分割払いを求めたが、大学は拒否した。金融会社からの借り入れも外国籍の「定住者」の在留資格であることから全て断られ、納付のメドが立たない。大学とは交渉を続けている。
◆除籍なら単位も抹消…「努力も水の泡」
女性は「除籍なら単位も抹消され、これまでの努力も水の泡。大学では移民の支援問題を勉強し、低所得の外国人でも大学を卒業できることを自ら示そうと頑張ってきたのに」と話す。宇都宮大学生支援課は取材に「期限内に授業料を納付しない学生は除籍という学則に基づいており適正と考えている」と回答した。
貧困問題や外国人問題に詳しい指宿昭一弁護士は「憲法で保障される教育を受ける権利の侵害にあたり、学問の府である大学であってはならないこと」と指摘する。
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