「ふてほど」Pに聞く 最終回どうなる?副題「アップデートしなきゃダメですか?」に込めた思い(2024年3月29日

金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」最終回(第10話)。小川市郎(阿部サダヲ)と犬島渚(仲里依紗)が乗ったタイムマシンは…(C)TBS
金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」最終回(第10話)。小川市郎(阿部サダヲ)と犬島渚(仲里依紗)が乗ったタイムマシンは…(C)TBS

「不適切にもほどがある!」磯山晶プロデューサーインタビュー(1)

 俳優の阿部サダヲ(53)が主演を務め、1月クール最大の話題作となったTBS金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」(金曜後10・00)は29日、15分拡大で最終回(第10話)を迎える。脚本の宮藤官九郎氏(53)と長年、ゴールデンタッグを組む磯山晶プロデューサー(TBSスパークル)に最終回に込めた思い、続編やスピンオフの可能性を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 宮藤氏がオリジナル脚本を手掛けるヒューマンコメディー。「池袋ウエストゲートパーク」「木更津キャッツアイ」の宮藤氏&阿部&磯山氏が「タイガー&ドラゴン」以来19年ぶりにタッグを組んだ。主人公は1986年(昭和61年)から2024年(令和6年)にタイムスリップしてしまった“昭和のダメおやじ”体育教師の小川市郎。彼の“不適切”な言動がコンプライアンスで縛られた令和の人々に考えるヒントを与える。

 毎回、昭和と令和のギャップなどを小ネタにして爆笑を誘いながら、「多様性」「働き方改革」「セクハラ」「既読スルー」「ルッキズム」「不倫」「分類」などの社会的なテーマをミュージカルシーンに昇華。コンプライアンス社会に一石を投じる宮藤氏の意欲的な筆が冴え渡り、SNS上で大反響を呼んでいる。

 タイムマシン運行は残り1往復分。犬島渚(仲里依紗)を連れ、昭和に向かった市郎は…。そして、86年から9年後に自分と最愛の一人娘・小川純子(河合優実)を待ち受ける“運命”は…。

 ーー撮影を終えた心境からお聞かせください。

 クランクアップまで非常に短く感じました。連続ドラマというのは、どんなにうまくいっていても、途中、ネジを巻かないといけない瞬間があるんですけど、今回は台本も撮影も順調で、キャストとスタッフのモチベーションも高かったので、これといった苦労もなく、達成感でいっぱいでした。難産だと思う瞬間は全くなかったです。

 ーータイムマシンの運行は残り1往復分となり、前回第9話のラストで市郎は渚を連れて昭和に向かいました。最終回の注目ポイントはどこになりますか?

 最終回は2人がタイムマシンに乗る数日前にさかのぼって、市郎さんが令和にお別れする準備をしているところから始まります。タイムマシンの燃料がたくさんあれば、まだ何往復もしたのかもしれませんが(笑)、パワハラで休職になった渚さんを元気づけるために最後の1回を使おうと決めた市郎さんが、昭和に帰ってどう生きていくのか、というお話です。市郎さんが自分たちの運命にどう向き合うのか、そして、令和でアップデートせざるを得なかった市郎さんと昭和で衝撃を受け続けたサカエさんの感覚の歩み寄りが見どころになると思います。

 ーー市郎が最後に昭和に帰る展開は当初から決めていたのでしょうか?

 市郎さんは最後に昭和に戻る、ということは最初から決めていました。ただ、全10話のうち、登場人物が何回、行き来するかは細かくは決めていなくて。全体構成を作る中で、純子は中盤で令和に来た方がいいかな、渚も一度は昭和に行った方がいいよね、と徐々に決まっていった感じです。3話ぐらいまでは、そんなに往復していいのかと試行錯誤しましたけど、5話ぐらいからは冷静に割り振れたと思います。どちらかと言うと最初は、市郎さんが令和にいて、昭和とのギャップを感じるエピソードが多くなると考えていたんですが、2話のラストで「すきゃんだる」のトイレに落ちて、3話のラストまで昭和にいるのは、市郎さんと純子が一緒にいるところ、つまり、このドラマの主軸である親子をしっかり描くためで。かといって、渚さんを放ったらかしにもできないし、市郎さんは両方の世界に必要。行ったり来たりしてもらわないと困るね、ということになりました。

 ーー最終回の副題「アップデートしなきゃダメですか?」に込めた思いを教えてください。

 サブタイトルはその回のテーマを決める時に、宮藤さんが毎回、考えているんですけど、「アップデート」は割と最初の方から決めていたみたいです。市郎さんが令和を経験して昭和に帰るので。1話の「頑張れって言っちゃダメですか?」は「頑張れって言ってもいいよね?」という気持ちも込めているのですが、「アップデートしなきゃダメですか?」は「アップデートしなくてもいいですよ」と言いたいわけではありません。反語のつもりではないんです。すべてにおいて常にアップデートしていくのは難しいはずなので、そこは自覚しつつ、相手がアップデートできていなくても、そんなに厳しく怒らなくてもいいんじゃないのかな、と。最近、宮藤さんとの間で、言いたいことは基本的に3つしかないよね、という話によくなって。「家族を大切にしよう」「失敗を恐れるな」「寛容になりましょう」なんですけど、寛容の部分を描くのに、今回は「アップデート」という表現を選んだんだと思います。

 =インタビュー(2)に続く=