第2の母国に(2024年3月26日『福井民報』-「あぶくま抄」)

 空前の人手不足を映す鏡か。外国人労働者が全国で増えている。福島労働局の調査によると、昨年10月末時点で本県は前年比2割増の過去最多に達している。コンビニでレジを打ち、居酒屋で注文を取りに回る

▼海外から仕事を求めて来県した人の4割近くは「技能実習生」だ。建設や農業の技術を習得している。郡山市の建築資材会社ではインドネシア人実習生7人が働く。寮で共同生活し、工事現場で足場を組む作業に汗を流す。実習の域を超え、貴重なマンパワーでもある

▼仕事以外に決め事がある。専門講師から月2回、2時間の日本語レッスンを受ける。費用は全て会社持ち。手厚い支援には、経営者の思いが込められている。職場や地域に溶け込み、日本を好きになって―。効果はてきめんに表れている。語学の幅が広がれば、帰国後に選べる仕事も多くなる

▼休み時間に、社員と日本語で雑談する。悩みを相談し、共に気晴らしにも出かける。近隣住民と言葉を交わし、野菜の差し入れを頂く。働くだけの毎日では味気ない。技術と一緒に、温かな思い出をたくさん母国に持ち帰って。海の向こうに多くのふくしまファンが生まれてくれれば何よりだ