◆20年一緒に暮らしたパートナーが、命を奪われた
年上のパートナー男性とは約20年生活を共にした。「物の管理が苦手な自分のために世話を焼いてくれ、頼りにしていた」。同居していた内山さんの母親のことも大切にし、話し相手になってくれていたという。
2014年、パートナーを内山さんの同僚だった男に殺害された。遺体を発見したのは内山さんだった。怒りや悲しみで混乱する中、弁護士らを通じて犯罪被害者給付金制度を知った。支給対象の遺族を定める犯罪被害者等給付金支給法(犯給法)は、事実婚パートナーも対象と規定。16年に愛知県公安委員会に給付金を申請したが、同性を理由に不支給とされた。
◆夫婦同然なのに一、二審は「同性間の内縁関係」認めず
「パートナーと夫婦同然の関係だった。経済・精神的被害に、異性カップルとの間の差異はない」。内山さんは18年に名古屋地裁に提訴した。しかし、県側は犯給法の規定は異性婚が前提の民法などを踏まえており「内縁関係に同性間の関係は含まれない」と反論。一、二審判決は「同性間の共同生活関係は含まれない」として訴えを棄却した。
事件の刑事裁判の判決では「夫婦同然の関係」と認定されただけに、「差別だと思った」と振り返る。
「今回の裁判が、役に立てるならうれしい」
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◆同性カップル 不平等の是正につながるか
弁護団によると、犯給法と同じ文言で事実婚パートナーも対象に含む法令は、厚生年金保険法や育児・介護休業法など230ある。今回の審理対象は犯給法に限られるが、最高裁が、事実婚パートナーに同性も含むと判断すれば、他の法令でも解釈を見直す動きにつながる可能性がある。
性的少数者の当事者団体の全国組織「LGBT法連合会」の神谷悠一事務局長は、自治体のパートナーシップ制度には法的効力がなく、同性カップルは社会保障が認められず深刻な不利益を受けていると指摘。「同性カップルの権利を保障できるのかが問われる重要な判決だ。不当な扱いを見直すきっかけになれば」と期待する。
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