同性パートナーも「事実婚の遺族」と認めて…犯罪被害者給付金をめぐる訴訟、最高裁が26日判決(2024年3月24日『東京新聞』)

 
 同性パートナーを殺害された男性が、事実婚の遺族として犯罪被害者給付金を受給できるかが争われた訴訟で、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は26日、判決を言い渡す。不支給を妥当とした一、二審判断が見直される可能性が高いが、原告の内山靖英さん(49)=名古屋市=はこれまでパートナーであることを否定され続けてきた。「また期待を裏切られるのが怖い」と不安な心境を明かした。(太田理英子)

◆20年一緒に暮らしたパートナーが、命を奪われた

 「毎日のようにパートナーのことを思い出している。異性カップルと悲しみは同じなのに、パートナーとして認められないことがつらい」。内山さんは判決前の心情を、代理人弁護士を通じて書面で寄せた。
 年上のパートナー男性とは約20年生活を共にした。「物の管理が苦手な自分のために世話を焼いてくれ、頼りにしていた」。同居していた内山さんの母親のことも大切にし、話し相手になってくれていたという。
 2014年、パートナーを内山さんの同僚だった男に殺害された。遺体を発見したのは内山さんだった。怒りや悲しみで混乱する中、弁護士らを通じて犯罪被害者給付金制度を知った。支給対象の遺族を定める犯罪被害者等給付金支給法(犯給法)は、事実婚パートナーも対象と規定。16年に愛知県公安委員会に給付金を申請したが、同性を理由に不支給とされた。

◆夫婦同然なのに一、二審は「同性間の内縁関係」認めず

 「パートナーと夫婦同然の関係だった。経済・精神的被害に、異性カップルとの間の差異はない」。内山さんは18年に名古屋地裁に提訴した。しかし、県側は犯給法の規定は異性婚が前提の民法などを踏まえており「内縁関係に同性間の関係は含まれない」と反論。一、二審判決は「同性間の共同生活関係は含まれない」として訴えを棄却した。
 事件の刑事裁判の判決では「夫婦同然の関係」と認定されただけに、「差別だと思った」と振り返る。
 
 最高裁は今月5日、二審の結論を変更する際に必要な弁論を開き、内山さんも出廷。不安は消えないが、同じ立場の同性カップルらが判決の行方に希望を抱いていることも感じている。
 「今回の裁判が、役に立てるならうれしい」
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同性カップル 不平等の是正につながるか

 弁護団によると、犯給法と同じ文言で事実婚パートナーも対象に含む法令は、厚生年金保険法や育児・介護休業法など230ある。今回の審理対象は犯給法に限られるが、最高裁が、事実婚パートナーに同性も含むと判断すれば、他の法令でも解釈を見直す動きにつながる可能性がある。
 性的少数者の当事者団体の全国組織「LGBT法連合会」の神谷悠一事務局長は、自治体のパートナーシップ制度には法的効力がなく、同性カップル社会保障が認められず深刻な不利益を受けていると指摘。「同性カップルの権利を保障できるのかが問われる重要な判決だ。不当な扱いを見直すきっかけになれば」と期待する。