「党内政局」いよいよ本格化か 岸田首相が自民党大会で注目の「宣言」 安積明子(2024年3月23日『週刊フジ』)

 
自民党大会で岸田首相は「反省」も述べたが…

まるで9月の自民党総裁選への出馬宣言のようだった。17日に開かれた自民党大会で、岸田文雄首相(党総裁)が行ったスピーチだ。岸田首相は冒頭、一連の「政治とカネ」の問題をこう陳謝した。

「一部派閥の政治資金に関わる問題によって、国民から多くの疑念を招き、深刻な政治不信を引き起こす結果となっております。党総裁として国民の皆さまに心からおわび申し上げます」

本来、元日の能登半島の震災対応などに詳しく言及すべきなのだろうが、それに優先させるほど「派閥の裏金問題」は岸田首相にとって〝深刻〟なのだろう。

だが、「政治とカネ」の問題を、どこか「他人事」としている気がしたのは、筆者だけではなかったはずだ。冒頭の「一部派閥の政治資金に関わる問題」では、岸田派の会計担当者も東京地検特捜部に立件されているのに、だ。

岸田首相が「得意だ」という外交について述べたくだりにも、強い違和感があった。

「世界中で争いの火種がくすぶる中で、わが国の安全を断固守り抜くとともに、世界の平和に責任を果たしていかなければなりません。それができるのは誰か、激動する国際社会に対応できるのは誰なのか。自公の安定した連立政権以外にはありません」

公明党に頼りつつも、「危機を乗り切れるのは自分だけだ」と断言しているようにも聞こえた。

だが、来賓として出席した公明党山口那津男代表は「私たちの連立政権は2012年に政権を奪還して以来、最大の試練に直面している」と危機感を示した。同党の石井啓一幹事長も10日放送のBS番組で、「総裁選で選ばれた総裁は非常に支持率が高くなる」と意味深な発言をしたばかりだ。

国民は岸田政権を評価していない。

17日公表の毎日新聞世論調査で、内閣支持率は17%で前月に続いて20%を下回った。政治倫理審査会での派閥幹部らの説明は、「十分ではない」との回答が89%を占めた。朝日新聞世論調査では、内閣の「不支持率」は67%で12年に自民党が政権復帰して以降、最悪の水準だ。

そうした空気を意識したのだろう。岸田首相は15日の参院予算委員会で、森喜朗元首相の国会招致を求める共産党小池晃書記局長に対し、「(裏金問題の)関係者の中には森元総理も入ると認識している」と含みを持たせた。

その森氏は自民党大会に出席し、壇上でスピーチする岸田首相をじっと見つめていたが、胸中は穏やかではなかっただろう。長年支配してきた清和政策研究会(安倍派)は解散の道をたどり、政界への影響力は風前の灯だ。

次期総裁選まであと半年ばかりだ。壮絶な党内政局が、いよいよ本格化しそうだ。 (政治ジャーナリスト)

安積明子「ニュース裏表」(zakzak)