文部科学省は22日、2025年度から中学校で使われる教科書の検定結果を公表した。QRコード(2次元コード)を学習用端末で読み取って利用できるデジタル教材が大幅に増える一方、掲載内容のQRコード先への移行が進み、国語、数学などは平均ページ数が前回から減少した。全国の小中学生に配備された1人1台の学習用端末を踏まえたデジタル重視の構成が、小学校に続き、中学校教科書にも広がった。
今回は、現行の学習指導要領に基づく2回目の検定で、主に19年度検定に合格した教科書の改訂版が審査された。
昨年度に検定が行われた小学校と同様、紙の教科書とデジタル教材の「融合」が加速し、合格した100点のうち97点にQRコードが掲載された。リンク先で提供するデジタル教材を、現行の教科書の30倍超に増やした教科書会社もあった。
文科省はデジタル教科書を今年4月の小学5年~中学3年の「英語」から順次、他の教科にも広げることにしており、検定に合格した教科書は、デジタル教科書を意識した作りとなった。QRコードのリンク先には、英語の発音をAI(人工知能)が3段階で判定する機能や、チャットに理科の質問をすると教科書の記述を教えてくれるアドバイザーなどAIを使った教材も目立った。
一方、動画の視聴などデジタル教材の使用を前提とした出題があるなどとして4社の教科書11点に23件の検定意見が付いた。
従来、紙の教科書に掲載していた問題や資料をデジタル教材に移行した影響で、国語や数学、理科、道徳などの平均ページ数が前回から数%減った。複数の主要教科の平均ページ数が減るのは、学習内容を削減した「ゆとり教育」の路線が打ち出された後の00年度検定以来だ。
今回は、10教科について計103点の申請があった。記述内容などに4312件の検定意見が付いたが、100点が合格。歴史の2点については検定の内容が外部に漏れ、検定規則などに抵触する可能性があるため、文科省は合否の決定を「未了」とした。そのほか、技術の1点が不合格となった。
元役員らが教科書選定を巡る汚職事件に関わった「大日本図書」は検定申請をしなかった。文科省が昨年3月、規則に基づき、今回の検定に申請しても内容を問わず不合格とする罰則の適用を通知していた。