「男女」という生物学的性別を自認する性などと同列に説明する教科書も目立った(松井英幸撮影)

 

文部科学省は22日、令和7年度から中学校で使われる教科書の検定結果を公表した。LGBTなど性的マイノリティーについての記述が増加。社会科地理など現行本には記載がない教科にも登場し、教科横断的なテーマとして扱われるようになった。保健体育は学習指導要領で定められた教育内容の範囲外だが、全ての教科書が「発展的な内容」として掲載した。

現行の学習指導要領に沿った中学校教科書の検定は元年度に続く2回目となり、10教科100点が合格した。技術・家庭(技術分野)でイスペットの1点が不合格となった。社会科歴史で2点が「具体的な検定内容が漏れていた」ことを理由に結果が「未了」となり、検定が継続される。

性的マイノリティーに関する記述の増加について、文科省教科書課は「理解増進法が制定されるなど社会の広い分野で取り上げられていることが影響したのではないか」と推測する。

性の多様性にとどまらず、男女差別や男女共同参画といったジェンダー(性差)に関する記述が全般的に充実した。

一方、領土問題を巡っては、合格した社会科の公民と地理の全ての教科書が北方領土竹島島根県隠岐の島町)、尖閣諸島沖縄県石垣市)が日本の「固有の領土」であることを明記した。

社会科歴史では、山川出版社と学び舎が慰安婦問題を取り上げた。山川出版社は「戦地に設けられた『慰安施設』には、日本・朝鮮・中国・フィリピンなどから女性が集められた」と記述。学び舎は「慰安婦」の文言が使われた平成5年の河野洋平官房長官談話を引用するなどした。

令和4年の安倍晋三元首相銃撃事件は、社会科の歴史と公民で自由社育鵬社が記述。「検定後の訂正申請で増える可能性がある」(文科省)。動画や音声などにアクセスできる「QRコード」(2次元コード)も大半の教科書に掲載された。

水原一平・元通訳取り上げた教科書も 中学教科書検定